コンパイラが有償だった時代
了解。要点を時代順にコンパクトに解説します。
コンパイラが「有償」だった時代とは?
1. 1950〜60年代:コンパイラ=巨大ソフト+研究成果
前提:コンピュータ自体が超高価(メインフレーム)
代表例:IBMの Fortran / COBOL コンパイラ
理由
コンパイラは最先端の研究成果(最適化・解析)
開発コストが非常に高い
そもそも「ソフトは無料」という発想がない
販売形態
ハードと一体、または年額ライセンス
利用時間・CPU時間で課金されることも
👉 コンパイラは「専門家向け工業製品」
2. 1970〜80年代:ミニコン・PC普及 → パッケージ商品化
代表例
Microsoft:MS Fortran / MS C
Borland:Turbo Pascal / Turbo C
価格感
数万円〜十数万円
特徴
箱入り・マニュアル付き
IDE込み(Borlandは特に革命的)
理由
個人や中小企業が購入可能に
ただし依然として「専門ツール」
👉 コンパイラは「ソフトウェア製品」
3. 1990年代前半:UNIX文化と学術世界
大学・研究所
ベンダー製Cコンパイラは有償(Sun, HP など)
一方で
AT&T由来のUNIX文化
「ソースコードを読む」文化が浸透
👉 ここで次の転換が起きる
4. 1987年〜:GCCの登場(決定的転換点)
人物:Richard Stallman
プロジェクト:GNU Project
GCC
高性能
無償
しかも商用コンパイラと競争可能
👉
「コンパイラは無料であるべき」
「言語処理系は公共財」
という思想が現実的に成立してしまった
5. なぜ今は無料が当たり前なのか?
技術的・社会的に理由がある:
1. ハードが安くなった
2. コンパイラ技術が成熟
3. エコシステム戦略
無料コンパイラ → 開発者増 → プラットフォーム勝利
例:Apple(Xcode)、Google(Android)
4. OSS開発モデル
LLVM / GCC は巨大な共同研究体
まとめ(1行)
コンパイラが有償だったのは、「希少で高価な研究成果」だった時代の合理的帰結であり、無料化は思想ではなく技術成熟と市場構造の結果。
もし次に進むなら:
「IDEはなぜ無料になったのか」
「LLM時代、コンパイラは再び有償化するのか」
「Rust / Swift が最初から無料だった意味」
このへん、かなり西尾さんの関心ど真ん中だと思います。