サーマルクライムスタジオ富士
フィンランド語の kelo は、主に北方の松が立ったまま枯れ、その後何十年もかけて自然乾燥した状態を指します。
木の外側は風雨と紫外線によって銀灰色になり、内部には赤みを帯びた樹脂質の心材が残ります。つまり「ケロの木」という樹種があるのではなく、老いた松が立ち枯れし、長い時間をかけて形成された材です。乾燥して樹皮や細い枝を落とした幹は、北方では枯死後も長期間立ち続けます。
ケロ材には、通常の新しい丸太と比べて次の特徴があります。
すでに非常に乾燥している
建築後の収縮や沈み込みが比較的小さい
樹脂を含む古材特有の香りと表情がある
一本ずつ探して採取するため供給量が少ない
ただし、「数百年腐らない」理由については、樹脂やフェノール系化合物などが関係すると考えられているものの、フィンランドでも研究が続いています。単純に「樹脂が多いから」だけで説明できるものではありません。
富士のケロサウナは、施設側は、フィンランド北部ロヴァニエミから運んだ、樹齢200年以上とされるケロ材を使った大型ログサウナと説明しています。
ドイツ側の資料では、Bembergはサウナ設備会社です。
創業者Paul Bembergは第二次世界大戦後、フィンランドで知ったサウナをドイツに導入し、1960年代には壁面側から室内を加熱するシステムを開発、1968年に特許化したと会社史に記されています。つまりその系譜は、古代から続く「ドイツ固有の伝統サウナ」というより、戦後にフィンランド式サウナをドイツの住宅・設備技術として再設計したものです。
現在のBemberg社も、北欧スプルース、ハンノキ、シナノキなどの無垢材や断熱構造を用いた、注文設計型のサウナを販売しています。「ベンベルグ」という特殊な木材や内装繊維が存在する、という説明ではありません。
したがって、富士の施設が開業時に用いていた、
ドイツのBemberg社によるサウナ
特徴的な凹凸天井を持つ小型サウナ
という説明の方が整合的です。現在の「ベンベルグ素材」という文章は、後から書き換えられた際の誤解と見るのが妥当です。