スーパーモジュラー生産
スーパーモジュラー生産、意外と書いてなかった
ざっくり言うと、
という話です。
1. 直感的な意味
2つの投入要素 (x, y)(たとえば「熟練労働」と「高度な機械」)を使って生産する関数 (f(x,y)) を考えます。
(x) を増やしたときの 限界生産性(どれだけ余計に産出が増えるか)が
(y) をたくさん使っているほど 大きくなる
→ 「(x) と (y) は補完的(相性がよい)」
この「限界生産性が互いを高め合う」性質を スーパーモジュラー(supermodular) と呼びます。(
IDEAS/RePEc)
なので、スーパーモジュラー生産とは、
「投入要素どうしが補完的で、片方を増やすほどもう片方の“効き目”もよくなるような生産構造」
ぐらいに理解しておけばOKです。
2. もう少し形式的に(生産関数の場合)
生産関数 (f(x_1,\dots,x_n)) が十分なめらかだとします。このとき
[
\frac{\partial^2 f}{\partial x_i \partial x_j} \ge 0 \quad (i \neq j)
]
がすべての組み合わせで成り立つとき、
(f) は スーパーモジュラーな生産関数 と呼ばれます。(
ウィキペディア)
これは「投入要素 (x_j) を多く使っているほど、(x_i) を少し増やしたときの増産効果が大きくなる」=増分が増えていく(increasing differences) という意味です。
3. 経済学的に何がうれしいのか
スーパーモジュラー生産関数だと、いろいろきれいな性質が出ます:
1. 要素需要の補完性
生産関数がスーパーモジュラーだと、ある要素の価格が下がったときに
その要素だけでなく「他の要素の需要も一緒に増える」ことが示せます。
2. ポジティブ・アソーティブ・マッチング
マッチングモデル(たとえば高技能労働者と高性能機械、高学歴同士の結婚など)で、
生産(あるいは効用)関数がスーパーモジュラーだと
「能力の高いもの同士が組む方が効率的」=正の相関マッチングが最適、
3. 比較静学(コンパラティブ・スタティックス)が単調になる
価格や技術などのパラメータを動かしたとき、最適解が「単調に動く」ことが保証しやすくなります
4. ごく簡単なイメージ例
例:IT投資(サーバやソフト) と 熟練エンジニア
IT投資だけ増やしても、優秀なエンジニアがいないと十分活かせない
逆に、優秀なエンジニアだけいても、古いシステムでは力が出ない
両方を一緒に増やすと、生産性の伸びが「足し算以上」になる
このような「まとめて増やした方が効率がよくなる」構造が、
スーパーモジュラー生産のイメージです。
もし「マッチング理論(Becker)との関係」や「サブモジュラー生産との違い」も知りたければ、そこも掘り下げて説明します。