本研究は中国の大手旅行テクノロジー企業で6カ月間のランダム化実験を実施し、週2日の在宅勤務（ハイブリッドワーク）が離職率を3分の1減らし、仕事満足度を向上させる一方、今後2年間の評価や昇進には悪影響がないことを示した。管理職は当初在宅勤務による生産性低下を懸念していたが、実験後にはむしろわずかにプラスと考えを改めた。これらの結果は、週2日の在宅勤務が組織の業績を損ねず、人材定着や従業員満足度改善に有効であることを示唆している。

今フルリモートを週1~3勤務に変更した会社が話題になってるのだけど、それに関してこの知見から何か言える？

この研究は、週に数日の在宅と出社を組み合わせるハイブリッド勤務(2日在宅・3日出社)が、完全オフィス勤務に比べて離職率を下げ、生産性維持にも問題がないことを示しています。一方で、今回話題になっている「完全リモートから週1～3日出社へ移行」というケースは条件が逆転します。つまり、もともと全日在宅で高い自由度を得ていた従業員に出社を求める場合、通勤負担の増加や自由度減少による不満が生じる可能性があります。研究結果からはハイブリッド勤務が必ずしも生産性低下につながらないことは示唆されていますが、「フルリモートからハイブリッドへの変更」では、従業員満足度や離職率にどのような影響が出るかは一概に言えず、むしろ慎重な対応が求められると考えられます。