NISHIO Hirokazu[日本語][English]

「である」と「する」

from 日本の思想 「である」と「する」 GPT.icon

「である」「する」の対比について

丸山眞男は、日本の思想や政治文化を分析する際に、「### である 」と「### する 」という二つの言語的・思考的スタイルの対比を提示しました。これは、単なる文法の違いではなく、日本社会の思考様式や価値観の違いを反映したものです。

1. 「である」型の思考

「である」型の思考は、### 客観的な事実や存在を前提とし、それを論理的に積み上げていく スタイルです。

特徴

  • 論理的・客観的

  • → 事実の正しさや整合性を重視し、体系的に議論を進める。

  • 固定的な概念に基づく

  • → 物事が「AはBである」と断定的に整理される。

  • 例:「日本は近代国家である」「民主主義とは権力の分立である」

  • 西洋的な合理主義との親和性が高い

  • → 科学、法学、哲学などの分野でよく用いられる。

メリット

  • 明確な定義や基準を持ちやすい
  • 一貫した理論構築が可能
  • 客観性があり、批判や検証がしやすい

デメリット

  • 現実の多様な状況を柔軟に捉えにくい
  • 絶対視されやすく、変化への対応が遅れがち

2. 「する」型の思考

「する」型の思考は、### 主体的な行動や実践を重視し、状況に応じて判断を下す スタイルです。

特徴

  • 実践的・状況依存的

  • → 物事は「○○をする」という行為を中心に考えられる。

  • 例:「民主主義をする」「近代化をする」「戦争をする」

  • 流動的で柔軟

  • → 状況に応じて考え方や行動を変える傾向がある。

  • 日本的な文化・政治風土に親和性が高い

  • → 「空気を読む」「場の雰囲気に合わせる」などの傾向と一致しやすい。

メリット

  • 変化に適応しやすい
  • 現実の状況に応じた柔軟な対応が可能
  • 共同体の中での合意形成に向いている

デメリット

  • 一貫性や原則が弱くなりやすい
  • 体系的な理論を構築しにくい
  • 主観的・感情的な判断に流れやすい

3. 「である」と「する」の対比の意義

丸山眞男は、日本の政治や思想の特徴として、「である」型よりも「する」型の傾向が強いことを指摘しました。

日本の政治文化における例

  • 「民主主義である」 vs. 「民主主義をする」

  • → 「民主主義である」なら、普遍的なルールや制度を前提とし、それを守ることが重視される。

  • → 「民主主義をする」なら、実際の運用や人々の合意形成が重視され、ルール自体も変動しうる。

  • 「戦争である」 vs. 「戦争をする」

  • → 「戦争である」なら、戦争という状態の定義や法的概念が問われる。

  • → 「戦争をする」なら、実際の戦闘行為や戦略的判断が重視される。

日本の社会構造との関係

  • 日本の政治は、理念や制度の正当性(「である」)よりも、実際の運用や妥協(「する」)に重点が置かれやすい。
  • 会社や組織でも、明文化されたルールよりも、「状況に応じて判断する」文化が強い。
  • 学問や思想においても、理論的な一貫性よりも、実際の経験や状況に基づいた議論が好まれる傾向がある。

4. 現代への応用

この「である」と「する」の対比は、現在の社会問題や意思決定にも関わっています。

現代日本の課題

  • 「である」型の不足 → 原理原則の欠如

  • → 明確な理念や制度を打ち立て、それを守る意識が弱い。

  • → 例:憲法解釈の曖昧さ、法律の形骸化

  • 「する」型の過剰 → その場しのぎの対応

  • → 原則よりも、その場の空気や関係性を優先する。

  • → 例:「前例がないからできない」「皆がそうしているから従う」

デジタル民主主義との関連

  • 「である」型の思考を強化することで、データに基づいた透明性の高い議論が可能になる。
  • 「する」型の強みを活かせば、柔軟で参加型の民主主義の仕組みが構築できる。
  • AIを活用した意思決定支援は、「である」型の分析と「する」型の実践を統合する新しいアプローチとなる可能性がある。

5. まとめ

:

である型 する型
思考スタイル 論理的・客観的 実践的状況依存
アプローチ 体系的な理論構築 行為・実践を重視
メリット 明確な定義一貫性検証可能性 柔軟性適応力実行力
デメリット 硬直化しやすい、変化に対応しにくい 一貫性がない場当たり的

丸山眞男の指摘は、単なる言葉の違いではなく、日本社会の意思決定の在り方に深く関わるものです。現在の社会や政治においても、この「である」と「する」のバランスをどう取るかが重要な課題となっています。


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