現在の安全保障環境の特徴 P.41
米国
宇宙軍の創設は、宇宙における取組を戦闘支援から競争と戦闘の領域へと抜本的に転換するもの
中国
宇宙領域 P.169
P.41
国家間の競争は、軍や法執行機関を用いて他国の主権を脅かすことや、ソーシャル・ネットワークなどを用いて他国の世論を操作することなど、多様な手段により、平素から恒常的に行われている。
「グレーゾーンの事態」と「ハイブリッド戦」 とは いわゆる「グレーゾーンの事態」とは、純然たる平時でも有事でもない幅広い状況を端的に表現したものです。 例えば、国家間において、領土、主権、海洋を含む経済権益などについて主張の対立があり、少なくとも一方の当事者が、武力攻撃に当たらない範囲で、実力組織などを用いて、問題にかかわる地域において頻繁にプレゼンスを示すことなどにより、現状の変更を試み、自国の主張・要求の受け入れを強要しようとする行為が行われる状況をいいます。 いわゆる「ハイブリッド戦」は、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした現状変更の手法であり、このような手法は、相手方に軍事面にとどまらない複雑な対応を強いることになります。 例えば、国籍を隠した不明部隊を用いた作戦、サイバー攻撃による通信・重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通じた偽情報の流布などによる影響工作を複合的に用いた手法が、「ハイブリッド戦」に該当すると考えています。このような手法は、外形上、「武力の行使」と明確には認定しがたい手段をとることにより、軍の初動対応を遅らせるなど相手方の対応を困難なものにするとともに、自国の関与を否定するねらいがあるとの指摘もあります。 顕在化する国家間の競争の一環として、「ハイブリッド戦」を含む多様な手段により、グレーゾーン事態が長期にわたり継続する傾向にあります。 特に日本では「武力の行使」を受けた時にのみ必要最小限の防衛力を行使する「専守防衛」の方針をとっているため、武力の行使かどうか曖昧なものに対して動きにくい
現在の戦闘様相は、陸・海・空のみならず、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域を組み合わせたものとなっている。
P.57
19(令和元)年7月に公表された国防白書「新時代における中国の国防」においては、世界の軍事動向について「インテリジェント化(智能化)戦争が初めて姿を現している」としており、中国軍による人工知能(AI)の活用などに関する取組が注目される。 智能化戦争
P.57
軍民融合 とは 軍民融合は中国が近年国家戦略として推進する取組であり、緊急事態を念頭に置いた従来の国防動員体制の整備に加え、緊急事態に限られない平素からの民間資源の軍事利用や、軍事技術の民間転用などを推進するものとされている。 特に、海洋、宇宙、サイバー、人工知能(AI)といった中国にとっての「新興領域」とされる分野における取組が軍民融合の重点分野とされている。
中国は、軍事や戦争に関して、物理的手段のみならず、非物理的手段も重視しているとみられ、「三戦」と呼ばれる「輿論戦」、「心理戦」及び「法律戦」を軍の政治工作の項目としている
P.68
中国は、「宇宙空間及びネットワーク空間は各方面の戦略的競争の新たな要害の高地(攻略ポイント)」であると表明し、紛争時に自身の情報システムやネットワークなどを防護する一方、敵の情報システムやネットワークなどを無力化し、情報優勢を獲得することが重要であると認識しているとみられる。
P.166
米国は、19(令和元)年にレーザー式対無人機システムを空軍が取得したほか、14(平成26)年からペルシャ湾で小型UAVに対処可能な出力30kW級の艦載固体レーザー兵器「LaWS」の試験に成功しており、...飛行する無人機の無力化に成功している。
P.167
中国は、北京・上海間約3,000kmにわたる世界最大規模の量子通信ネットワークインフラを構築したほか、16(平成28)年8月、世界初となる量子暗号通信を実験する衛星「墨子」を打上げ、18(平成30)年1月には、「墨子」を使った量子暗号通信により、中国とオーストリア間の長距離通信に成功したとしている。
P.169
中国やロシアなどは...攻撃対象となる衛星に衛星攻撃衛星(いわゆる「キラー衛星」)を接近させ、アームで捕獲するなどして対象となる衛星の機能を奪う対衛星兵器を開発しているとみられる。
P.175
18(平成30)年12月、米国などは、中国国家安全部と関連するサイバーグループ「APT10」が少なくとも12か国に対して知的財産などを標的とするサイバー攻撃を実施したと発表 わが国において、「APT10」による民間企業、学術機関などを対象とした広範な攻撃が確認
P.180
電磁波領域を利用して行われる活動には電子戦と電磁波管理があり、電子戦の手段や方法は一般的に、「電子攻撃」、「電子防護」及び「電子戦支援」の3つに分類される。
わが国周辺においては、TU-154情報収集機やY-8電子戦機などが南西諸島周辺や日本海上空を飛行したことが確認されている。
P.185
新型コロナウイルス感染症の拡大は、自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指した国家間の戦略的競争をより顕在化させ得ることから、安全保障上の課題として重大な関心をもって注視していく必要がある。