国が諸君に何をしてくれるかを問うな。諸君が国に対して何をできるかを問え

短くまとめると――これは1961年1月20日の[J.F.ケネディ](/ja/J.F.%E3%82%B1%E3%83%8D%E3%83%87%E3%82%A3)大統領就任演説の一節で、「受益者としての発想から、市民としての貢献へ」意識を切り替えよという、市民的義務(civic duty)を呼びかけるメッセージです。原文は
“Ask not what your country can do for you—ask what you can do for your country.”(続けて “My fellow citizens of the world …” と世界市民にも広げる一文が来ます)。([National Archives](https://www.archives.gov/milestone-documents/president-john-f-kennedys-inaugural-address?utm_source=chatgpt.com))
何がうまいのか(レトリック)
- 同語反復を語順反転で用いる アンチメタボリー(antimetabole) と、語順倒置 アナストロフィ(“Ask not …”) によって、耳に残る対句になっています。(LitCharts)
背景と意図
- 冷戦初期の「新しい世代にたいまつが渡った(the torch has been passed)」という世代交代の文脈で、公務・ボランティア・納税・兵役など公共への奉仕を強調。実際、この年に**平和部隊(Peace Corps)**が大統領令で創設されました。(JFK Library)
よくある誤解と日本語訳のニュアンス
- “country” は 政府(government) より広い 国=共同体 を指します。権利を求めることを否定する文ではなく、「権利と責務の両立」を促す標語だと読むのが自然です。演説末尾では「アメリカがあなたに何をするかではなく、共に自由のために何ができるか」と、国益を越えた協働へも広げています。(National Archives)
先行表現(“JFKオリジナル”だけではない)
どう受け取ればよいか(実務的な読み)
- 個人の要求を黙らせるスローガンではなく、公共財をともに生み出す主体としての自覚を促す呼びかけ。とくに、投票・地域活動・公共サービスへの参加・グローバル課題(自由や人権)の協働といった、**「受け取る」よりも「加える」**行動の優先を示します。演説全体の調子もこの方向です。(JFK Library)
要するに、この一文は「国家に依存する受給者」から「公共を担う共同製作者」への視点転換を一撃で促す、構文も意味も美しく練られた市民倫理の名句だ、ということです。