熟議のための4つのステップ
Keynote for LibreCon 2016 from Audrey Tang
要約
第一ステップ: 客観的ステージ(or 事実)
- すべてのステークホルダーから観測可能な事実を収集する
pollingしないよ、とも言っている。ここは意外に思う人もいそう。
- 僕なりの解釈:
- アンケート的な方法でデータを収集することは、そのアンケートの質問項目を決める段階ですでに思考の既存の枠組みに囚われている
- なのでその枠に収まらない情報を収集することに失敗する、そして収集できたものだけに注目してしまう、これは一見客観的に振る舞っているが実は質問項目を決めた人の主観的な思い込みを再現している
- そうではなく「トピックに関係ありそうだと人々が思うこと」をまずは無条件に収集するべきだということ
第二ステップ: 感情
- 人々がどのような感情を持つのか聞く
- 同じ事実でも人によって異なる感情を持つ
- 感情に良い悪いはない
ある客観的事実Xについて、ある人Yが主観的にある感情Zを抱いたとき、この三つ組(X, Y, Z)は客観的な観測事実であり、熟議のために収集すべき対象ということ
- 大勢の主観を集める
第三ステップ: アイデア
- どのアイデアが最良であるかは、どれだけ多くの人の感情をケアしているかによって決まる
これ、不用意に「要望を聞く」ってやってしまいがち
- 本当は解決策を考える前に解決すべき問題の全体像を理解するべき
- 大体の人は問題を自分周辺のごく限られた視点でしか観察していないので良い解決策を思いつくことができない
- 別の視点から「いやその方法ではこういう理由でダメだ」と即座に却下されるような提案を出してしまう
- ソフトウェア開発でもよく言われていること
- ユーザからの「こうして欲しい」という要望を聞いてその通りに実装してもユーザの問題が解決されなかったり、別のユーザのところで問題が発生したりする
- そういう意味でもこの「熟議の4ステップ」は「まずみんなで問題を把握する」ということなのだろう
第四ステップ: 決断
- 公共部門に関しては大臣が決断の責務を負うが、少なくとも人々の事実と感情とアイデアを心に置いて決断できる
人々の意見を集める、という話を聞いて「投票による多数決で最終決定する」と勘違いする人がいる
- だが最終意思決定のメカニズムは熟議が行われるかどうかとは無関係
- 一人の人が独断で決めるとしても、大勢の人の視点からの議論を把握した上で決めるなら、より良い意思決定になることが期待できる
熟議の全体像
4 step process for deliberation
2025-09-20
- これを念頭に置いた上で2024年の都知事選以降いくつかのプロジェクトで実際の大勢の意見を見た感想として、大部分の人は事実と解釈を分離する訓練を積んでいないので第一ステップで感情を入れずに事実を収集することができないと思う。
- 訓練されていない人を対象にするなら第二ステップから始まる
- 第一ステップは訓練されたスタッフが行なって参考資料として提示するなどの形が良さそう
- チームみらいのように「マニフェストを専門家が作る」「それに対して人々がリアクションする」という形はこの形になっていた