NISHIO Hirokazu[日本語][English]

自分でやった方が早い病

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2018-08-09

  • 「任せ方がわからない」「満足できる質のものが上がってこない」「教える時間がない」などの理由で自分がやった方が早いと考えてしまう状態を「自分でやった方が早い病」とする本
  • LoanDEALの移籍経験者のプレゼンで、自分の巻き込み力不足に気付いたという話をしていて、自分にも巻き込み力が足りないと気づいた
    • 周囲に運よく「巻き込み力が強くて、正しいテーマを選んで巻き込む頭の良さと、僕を短期的に搾取しようとしない長期的視点を兼ね備えた人」がいたおかげで、ぼんやりしているうちにいろいろ巻き込まれてこうなった
    • だいたいLoanDEALのイベントに行ってること自体が関さんに巻き込まれてるわけだし。
  • 書籍の解説ページにあった「病が進行すると孤独な成功者になる」という表現を見てやばさを感じたので購入した。

2通りの「自分がやった方が早い」

  • 周りよりも自分ができるから自分がやった方が早い

  • お願いの仕方がわからないし、どうお願いするか悩んでいるより自分でやった方が早い

  • 仕事を抱え込むほど余裕がなくなる

  • うまくいかない理由を他人のせい、環境のせいにすることによって、自分を肯定する。

  • 今いるメンバーがベストメンバー、「もっと良い人が来れば」などはない

  • 「遠慮してしまってお願いできない」は「遠慮」というきれいな言葉でごまかしているだけで「信頼関係が築けていない」ということ。

    • 信頼関係があるなら「お願いできます?」「いいですよ/今はちょっと難しい」というやり取りが難しいはずがない
  • 4つの幸せ

    • 人に愛されること
    • 人に褒められること
    • 人の役に立つこと
    • 人から必要とされること

「自分が褒められるための仕事」をしていても自尊心がくすぐられるだけ 損得勘定

  • 「自分がやった方が早い」と思うのは利己主義
    • 自分が仕事を抱え込んで「こんなに頑張ってるのに」っていう利他主義のポーズに酔いがち
    • 魚を与えるのではなく漁を教えろ
      • 与える行為にも2種類ある
      • 魚を与える行為は、長期的には「あなたが魚を与えなければ飢えが満たせない」
      • 短期的に「してやった」とい満足感を得る行為
      • だから「与える行為」だが「利己主義」

イエローハット創業者 鍵山 秀三郎

  • してもらう幸せ

  • 自分でできる幸せ

  • させていただく幸せ

  • 「仕事をこなすのが目的」という状態から「仕事を通じて成長の機会を与えるのが目的」という状態へ

京セラ創業者 稲盛 和夫

  • 小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり

  • 衝突を避けて、一見「優しい人」

  • 実は利己主義

  • 「任せる」に関する3つの勘違い

    • 任せたことが期待通りの成果で返ってくる
      • そんなことはない
      • 失敗や期待に合わない結果が返ってくるのが大前提
      • 「失敗するかもしれないから任せられない」がおかしい
    • 任せる=丸投げする
      • それは相手が丸投げしても大丈夫なレベルまで育ったプロフェッショナルである場合だけ
      • 大部分のケースでは、任せつつも「いざとなったらすぐに助けられる状態」をキープすることになる
    • 任せると楽になる、自分の仕事を楽にするために任せる
      • それは相手が十分成長した後の話
      • 「任せる」ことによって、将来的にたどり着くゴール
      • いま任せることができていない人にとって、短期的には任せることで仕事は増える

管理職誰もが直面する「上司のジレンマ」

  • 「短期的な成果」と「中長期的な成果」の両方を負わなければいけないこと
  • 中長期的な成果=自分と周囲の成長

任せる=失敗する権利を与える

権限をインフォーマルに委譲してしまう

  • 実績のない人をフォーマルに昇進して権限付与することが難しい組織での対処法
  • 独断でインフォーマルに権限委譲してしまう
  • 成果が出てから「実はこの成果を出したのは彼です」と言って実績ベースで説得する
  • できない人に機会を与えることでできる人になる、これが教育
    • ただし誰でもよいわけではない
    • 責任感と信頼
    • 少しハードルの高い仕事を与えて、その仕事ぶりで判断

自分のコピーを作ろうとしてはいけない

  • 自分が今まで成功体験を積んだやり方が正しいと思ってしまいがち
  • 自分のやり方をなぞるように言ってしまいがち
  • それは相手からすると「言われたとおりにやらされている」というロボット的仕事
  • 「私に仕事を任せるのなら私のやり方でさせてほしい、そうでないならこの仕事を降りる」
  • 口出ししたくなるのをぐっとこらえる
    • 「これから話すことは独り言だから、採用するかどうかは自分で決めてね」と前置きしてつぶやくとか
    • 押し引きのバランス。押しすぎてはいけない、100個言いたいことが出てくるけど3個だけ言う。
    • 思いついたことを全部言うのではなく、いったん溜めた上で、本当に今重要であることだけを伝える
    • この選択能力を自分自身が身に着けることが大事

PDCAサイクル

  • Dに自分が手を出さない
  • 必然的に残りにウェイトを置くことになる

「なんかあったら言ってください」って言っても相談には来ない

  • 面談の時間を決めてしまう、食事とか、コーヒーとか

「仕事が複雑でアウトソースできない」という思い込み

  • 100点のマニュアルを作ろうとするから困難
  • 70点のマニュアルを作る
    • 例えば最低限チェックすべきことのリスト

同じ著者の 任せる技術

思い込みをなくす質問

森 信三

我以外、みな師なり

陰徳と陽徳

  • 陽徳はエネルギーを奪う
  • 陰徳で補う
  • 講演、執筆は陽徳なのでエネルギーが奪われる、だから陰徳で補う必要がある

#巻き込み力

harajuneの感想

2025-01-05 この時は「任せる」の対象が暗黙に人間であると仮定されていた LLMの進化や自律的に動作するDevin.aiの登場で「任せる」の相手がAIになった また多くの人が「任せる側」の視点を体験するようになった

o1 Pro.icon要約(簡潔版) 本書が指摘する「自分でやった方が早い病」は、任せる・巻き込むことを避けて仕事を抱え込み、結果的に成長機会の損失や孤独化を招く状態を指す。主なポイントは以下のとおり。

  • 任せ方がわからず抱え込む
    • 「教える時間がない」「任せて失敗されるのが怖い」などの理由で、自分一人で仕事を抱えがち。
  • 短期成果と中長期成果の狭間
    • 管理職やリーダーは、目先の結果とチーム全体の成長を両立させる必要がある。任せることで成長の機会を与えるが、短期的には自分の仕事はむしろ増える。
  • 失敗の許容と信頼構築
    • 「丸投げ」ではなく、いざとなれば助ける仕組みを作り、失敗は成長に繋げる。信頼関係があれば、お互いに無理なく「お願い」と「断り」ができる。
  • 利己主義と利他主義の錯覚
    • 「自分がやった方が早い」と抱え込むのは実は利己主義であり、「魚を与えるのでなく、漁の仕方を教える」視点が大切。
  • 自分のコピーを作らない
    • 相手のやり方や発想を尊重することが、主体性と成長につながる。全部口を出さず、押し引きのバランスをとる。
  • 権限のインフォーマルな委譲
    • 組織で公式に昇進させにくい場合でも、実績ベースで周囲を説得する方法もある。

新たな考察:AI(LLM)や自律エージェントへの「任せる」視点の登場 近年、LLM(大規模言語モデル)や自律的に動作するエージェント(例:Devin.aiなど)が普及し、これまで「人間に任せる」とされていた領域をAIに任せるシーンが増えている。すると以下のような新しい課題と可能性が生まれる。

  • 教える・設計するコスト
    • 人間に仕事を任せるときの「指導」や「失敗ケア」の代わりに、AIへのインプット(指示やプロンプト設計)が重要になる。設定を誤ると成果が期待から外れる点は、人に任せる場合の失敗と似ている。
  • 学習と成長の相互作用
    • AIに任せることで、人間はより高度なクリエイティブ領域に専念できる。一方、AIのアウトプットを評価・改善するプロセスは人間側の学習にも繋がる。
  • 「自分でやった方が早い」思考の変化
    • AIが短時間で大量の作業をこなせる場合、人間の「自分でやった方が早い」が必ずしも正しくなくなる可能性が高い。逆に、「任せた結果のリスク」や「情報漏えいリスク」などの新たな懸念に対処する必要がある。
  • 信頼関係ならぬ“信頼設計
    • AI相手でも「任せ方」が問題になる。人間同士ほどの感情的な信頼関係は必要ないが、継続的に正しい結果を返すための仕組みづくり(モデルの選定・プロンプトの最適化・セキュリティなど)が、いわば“信頼設計”として重要になっている。

今後は「自分でやった方が早い病」が、人同士の関係だけでなく「AIへの任せ方」にも現れるようになるだろう。短期的成果ばかりに囚われず、AIを巻き込む・活用するための“学習コスト”を投資できるかどうかが、中長期的な成長を左右するカギとなる。


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