量産型パブコメの落とし穴──税金と民主主義を守るためにAIが必要な理由|NISHIO Hirokazu パブコメ大量投稿問題
以下原稿 (ここにタイトル) (ここに見出し) 近ごろ SNS で呼びかけが拡散し、生成 AIで少しずつ言い回しを変えた「ほぼ同じ意見」を一人で何十通も送る――そんな“量産型パブコメ”が急増しています。2025年2月のエネルギー基本計画では、わずか 46 人が3,940 件(平均約 86 件/人)の意見を提出し、その多くが生成 AIで作られたと報じられました。 エネルギー基本計画:パブコメ、46人が3940件 エネ基 AI利用か 全体1割 | 毎日新聞
(ここに見出し)
除染土の再利用に関する省令案(環境省)へのパブリックコメント募集(募集期間:2025年1月17日~2月15日)では、過去に例のない約20万件もの意見が寄せられました。この異常な数の背景には、SNS上での組織的な呼び掛けと投稿指示がありました。原発事故で発生した汚染土の全国再利用に反対する市民グループ「放射能拡散に反対する会」などが中心となり、「『放射能汚染土の再利用はやめてください!』と書いて出しましょう」というスローガンを掲げて意見提出を奨励、。Twitter上では「#みんなでパブコメしよう」「#放射性物質 #環境汚染」等のハッシュタグ付き投稿(上図)で、環境省の募集ページリンクや意見提出の締切日時とともに意見文のひな型(文例)が共有されました。
この結果、環境省に寄せられた意見は20万7850件にのぼり、その約96%が句読点に至るまで完全に同一の内容でした。
パブリックコメント20万件超も…96%は“一字一句”同じ 同一人物の投稿も 除染土再利用めぐる意見 | 福島のニュース│TUF (1ページ)
同一文面のコピペ投稿が大量にあったため、内容が全く同じ意見は一つにまとめて集計され、ユニークな意見数は8277件になったと報告されています。
パブコメに寄せられる意見は通常10件未満だが、今回は20万7850件に上った。このうち19万9573件(96%)は残り8277件のいずれかと完全に一致しており、組織的動員が結果となって表れた形だ。 除染土「反対」水増し 再生利用公募意見、SNSで文例を拡散:福島ニュース:福島民友新聞社
一人で同じ名前を使って1000件以上も投稿する例も複数確認されており、明らかに組織的・機械的な大量投稿(DDoS的な妨害行為)と言える状況でした。最終的に寄せられた意見の大半は「改正案に反対、汚染土の拡散反対」といった否定的内容で占めました。 環境省のパブコメに20万件超 同一内容が96%、大臣が懸念示す:朝日新聞
公務員は提出者の多寡にかかわらず内容をすべて確認する義務があるため、こうした“大量・類似コメント”への対応には膨大な税金と職員時間が吸い取られています。制度の信頼と財源を守るには、AIで重複や類似意見を素早く束ねる仕組みづくりが不可欠です。
行政手続法では、寄せられた意見は### 件数ではなく内容で判断 すると明記されています。したがってコピペで同一文面を増やしても“一意見”にしか数えられません。
最近はプロンプトに要点を入れるだけで類似文章を無限に作れる生成AIが普及。SNS上では「文案テンプレ+ChatGPTで言い回しを変える方法」が共有され、一人が何十件も投稿する動きが確認されています。
ハッシュタグや動画配信で「パブコメを出そう」と呼びかけが拡散し、短期間に数万件規模の意見が集中する例が相次いでいます。
米国では行政会議ACUSが### 「大量・AI生成・類似コメント」対策として技術活用を推奨 し、AIによるクラスタリングや重複検知を盛り込んだ勧告 2021-1を出しました。連邦機関は実際にNLPツールで数百万件を自動仕分けし、確認時間を約9割削減した例を報告しています。
同義語・言い換えを人が目視で確認するのではなく、AIを用いた類似度判定で類似のものをまとめましょう。 職員がExcelにコピペして集計するのではなく、ダッシュボードで統計や全文検索を可能にしましょう。 1件あたり数分×数万件 = 数百人日のコストを削減し、少数意見に気を配る余裕を増やしましょう。
AIを活用すれば下記のような効果が期待できます。
—機械が下処理、人は分析に集中。 2. ### 公平性の回復 —似た意見を束ね、独自視点を目立たせる。 3. ### 制度の信頼維持 —「結局数のゲーム」という誤解を防ぐ。
「行政DX」と聞くと派手さはありませんが、民主主義のインフラを静かに守る仕事です。大量・類似パブコメを自動で整理できる仕組みを開発する人は、### 私たち全員の税金と意思決定の質を守る立役者 だと言えるでしょう。
パブコメを量産して税金を浪費させる行為は社会的便益を損なう重大な課題です。AIでの対策に挑むエンジニア・研究者を、ぜひ応援してください。