NISHIO Hirokazu[Translate]
おやじ狩り
o3「おやじ狩り」とは、1990年代半ばに日本で流行語となった少年グループによる路上強盗の俗称で、主に酔って帰宅中の中高年男性(“オヤジ”)を狙い、暴行のうえ金品を奪った事件群を指します。経済停滞による若年層の閉塞感と、中年世代が依然として資源を握る構図が重なり、メディアはこの犯罪を“世代間対立”の象徴として報じました。実態は少年犯罪の一形態ですが、世代間の経済格差や価値観ギャップを背景にした点で、日本特有の社会現象として位置づけられます。

定義と語源
用語の成立
「おやじ狩り」は1996年6月、千葉県船橋市で高校生ら7人が起こした強盗致傷事件で犯人自身が使った呼称がマスメディアに取り上げられ定着しました。
意味
酒に酔った帰宅途中の会社員など中高年男性を取り囲み、殴打・恐喝して現金や財布を奪う行為全般を指します。

歴史的背景と拡大
1990年代の経済停滞と若年層の不満: バブル崩壊後の“就職氷河期”で若者は将来不安を抱え、そのフラストレーションが暴力行為に転化したと分析されました。
警察白書によれば、高校生による強盗は1994年比で約2.2倍に急増し、路上強盗の代表例として「おやじ狩り」が挙げられています。
海外紙も“oyaji-gari / uncle hunting”と紹介し、日本の少年犯罪の新トレンドとして報道しました。
>And a popular new pastime of youth gangs is oyaji-gari, or "uncle hunting," which means finding a weary office worker on his way home from work, beating him up and robbing him.

行政・司法の対応
1997年以降、少年法改正論議が活発化し、14歳未満も検挙対象にすべきかといった議論が起きました。
警察は組織窃盗対策班を設置し、街頭警戒と少年への補導活動を強化しました。

現在の状況と教訓
2000年代以降、言葉としての「おやじ狩り」はほぼ聞かれなくなり、統計上も街頭強盗は減少傾向にあります。ただし、世代間格差を背景にした憎悪感情はSNS上で形を変えて残っているとの指摘があります。
日本社会では、高齢化と若年層の貧困が進み“新たな世代間リスク”が顕在化しており、暴力行為として再燃する可能性は否定できません。


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