火界咒
不動明王の真言は長くてかっこいいので小学生の時に覚えたのだが、もっと長いバージョンがあると知った
リズミカルに表現したもの| なうまく | |
| さーるば | たーたー | ぎゃーてい | びゃーーく |
| さーるば | ぼっけい | びゃーーく |
| さーるば | たーたー | らーたー |
| せんだー | まーかろ | しゃーだー |
| けーーん | ぎゃーーき | ぎゃーーき |
| さーるば | びきなん | |
| うんたら | たーかん | まーーん |
1:02:25から
火界呪/火界咒
読みは かかいじゅ、または かかいのしゅ。
火界呪
なうまく さらば
たたぎゃていびゃく
さらば ぼっけいびゃく
さらば たたらた
せんだまかろしゃだ
けんぎゃき ぎゃき さらば
びきなん うんたらた
かんまん
復元サンスクリットは、おおむねこうです。
namaḥ sarva-tathāgatebhyaḥ sarva-mukhebhyaḥ sarvathā traṭ caṇḍa-mahāroṣaṇa khaṃ khāhi khāhi sarva-vighnaṃ hūṃ traṭ hāṃ māṃ
Red Zambala も、これを不動明王の三つの標準的真言のうち最長の Fire Realm Mantra / 火界呪 として挙げ、真言宗読みもほぼ同形で示しています。(
Buddhism & Healing |)
訳
逐語的には、
_| 音 | 梵語 | 意味 |
| ノウマク | namaḥ | 帰命します、礼拝します |
| サラバ | sarva | すべての |
| タタギャテイビャク | tathāgatebhyaḥ | 如来たちに |
| サラバ | sarva | すべての |
| ボッケイビャク | mukhebhyaḥ | 口・面・門に |
| サラバタ | sarvathā | あらゆる仕方で |
| タラタ | traṭ | 破砕・調伏系の真言音 |
| センダ | caṇḍa | 激しい、猛々しい |
| マカロシャダ | mahā-roṣaṇa | 大いなる忿怒の者 |
| ケン | khaṃ | 種子音 |
| ギャキ・ギャキ | khāhi khāhi | 食らえ、食らい尽くせ |
| サラバ | sarva | すべての |
| ビキナン | vighnaṃ | 障碍、妨げ |
| ウン | hūṃ | 種子音 |
| タラタ | traṭ | 破砕・調伏系の真言音 |
| カンマン | hāṃ māṃ | 不動明王系の種子音 |
ここでの tathāgata は「如来」、つまり仏を指す語です。仏教百科では、tathāgata は仏の異名で、「そのように去った者/そのように来た者」とも解析される語と説明されています。(
仏教事典) また vighna は「障害・妨げ・困難」を意味します。(
サンスクリット辞典)
ポイントは、慈救呪が「障りを打ち砕く」感じなのに対して、火界呪はもっと強く、一切の障碍を火で焼き、食らい尽くすという調伏的な響きが前面に出ています。
ただし、火界呪は流派・次第・寺院によって字句や読みが少し揺れます。平等寺も、長い火界呪は流派によって字句が異なるため、修法では所属の次第に従うと説明しています。(
byodoji.online)
こちらはtathāgateの形で「如来」「このように行った/来た者」
般若心経の方は「行った」
なので単語としては同じ
「びきなん」か「びぎなん」か
「びきなん」に対応するサンスクリットは、原典の音写と文法から見ると、次の形が有力です。
sarva-vighnān
सर्वविघ्नान्
サルヴァ・ヴィグナーン
「すべての障害を」
内訳は:
sarva(सर्व)=すべての
vighna(विघ्न)=障害、妨害
vighnān= vighna の男性・複数・対格。「障害すべてを」
gh(घ) は有気有声音、つまり息を伴う g です。現代的に原音へ寄せるなら「サルヴァ・ヴィグナーン」
インターネット上には sarva-vighnaṃ(सर्वविघ्नं、サルヴァ・ヴィグナム)と復元する資料もあります。しかし「すべての障害を」という文法を考えると、ここでは複数対格の sarva-vighnān のほうがよく合います。
火界呪の原典に当たる不空訳『金剛手光明灌頂経…』(大正蔵1199)では、"薩縛 尾覲南(二合引)"と音写されています。「引」は長母音を示すので、末尾は -nān(ナーン) と考えるのが自然です。
同じ Caṇḍamahāroṣaṇa 系の梵文資料にも sarvavighnān という用例があります。