NISHIO Hirokazu[Translate]
描画AIは独占的ガチャ
ソシャゲにおけるガチャは、たとえSSRを引いたとしても「同じものを他にもたくさんの人が持っている」という特徴がある
これは絵の作成コストが高いからである。

描画AIで生成すると、世界で一つのものを自分だけが持っている状態になる。

例えばあるソシャゲがこんな企画をしたとする
SSRのキャラを特定段階まで育ててゲーム内アイテムXを使うとキャラ画像をimg2imgして第二の容姿を作ることができる

こうなるとプレイヤーは「自分が育てた好みのキャラ」を「さらに自分の好みの容姿に近づける」ことができる。困り顔にしてみるとか、目にハートを入れてみるとか。
img2imgのノイズ少なめステップ少なめ処理であれば元画像から大きくは変わらないのでエロ画像にされてしまうなどのリスクは十分少ない
(とはいえ何がエロかは人によって解釈が違うので赤面が性的と思う人もいる)

この「ゲーム内アイテムX」にユーザはいくら払うだろうか
img2imgの計算コストとしては1円未満
NovelAIでは11ドルで2000枚作成できるレートなので、それで赤字にならないのだと推測できる
だからこのアイテムを10円でユーザが買うなら利益率めちゃ高い
100円で容姿10連ガチャできるならやる人多いのではと思う
直接売るのではなく通常のプレイを続けることによって低確率で手に入るようにする手もある
ログインボーナス30日ごととか
描画AI自体の提供を直接ビジネスにする場合と違って結果が即座に変える必要がないので負荷の平準化が容易
ゲーム内フレーバーとしては「ちょっと美容室に行ってきますね」とか言って一時間程度不在になって、戻ってきたときに通知が来るとかでよい
負荷が平準化できるなら設備投資コストが抑えられるので1枚あたりのコストがもっと下がる

発想のきっかけ
>@Ajiko_channel_v: img2imgが面白くて
>これ、呪文も丁度良かったんだけど
>SSR引いた気分
>サムネだと一緒なの本当にすき
>


SSRという比喩でガチャだよなーと思った
この場合は厳密に言えば元絵として自分に著作権のないものを許諾なく使ってるので「所有権もらえる」とは言い難い
ソシャゲのイラストをユーザが勝手にimg2imgすることは今でも可能だが、同様に「自分のものになった」とは言い難い
ソシャゲメーカー自体がソシャゲの内部機能として提供するなら(元々ガチャでSSRを引いたとしてもゲーム内データに過ぎず、その絵の著作権どころかゲーム外での利用許諾すらもらえてないのに大部分の人が「所有してる感」を感じるのと同様の意味で)「自分のものになった」感じがするだろう

余談
この「世界で一つだけ自分だけが所有しているゲーム内アイテム」をゲーム内でトレーディングできるようにすると個人的には面白いけど、運営企業的には悩みの種が増えるからやりたくないかもな

自分でもガチャを引いてみた(3個目以降)





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