NISHIO Hirokazu[Translate]
炎上しそう
2024年、日本の正月番組で合成によって作られた架空の子供の写真と、表示された“母”とされる芸能人を元に、“父”を当てるクイズが実施された
ある回答者がスタジオにいた芸能人を父として回答し、29歳のその芸能人は「やめてください。なんかもうこのコーナーちょっと炎上しそうだから、やめてください。気持ち悪い」とコメントした
ネットでは「さすが感覚が若いな」「物怖じせず言えるのスゴすぎる」「危機管理能力高い」と称賛の声が寄せられた

「炎上しそう」という表現はいいなnishio
「私はこれを気持ち悪いと思う」というタイプの主張は、日本だと「和を乱す発言」と捉えられがち
「そんなことを言って水を差すなよ」となって無視される
「私は〜」というアイメッセージがネガティブな自己主張と捉えられるからか
自己主張をネガティブな行為と捉えるカルチャーが
それを「炎上しそう」と言い換えることで「私がどう思うか」ではなく「炎上するリスクがあるかないか」という論点になる
こうなると日本人のリスク回避傾向の強さから「じゃあやめとこうか」となる
炎上しないことを証明するのは不可能
これは「世間」や「空気」などとも呼ばれる「顔の見えない大衆」に意見を代弁させるメソッド
太宰治が「人間失格」で書いていた: 世間というのは、君じゃないか

"Engineer's way of creating knowledge" the English version of my book is now available on [Engineer's way of creating knowledge]

(C)NISHIO Hirokazu / Converted from [Scrapbox] at [Edit]