経験値稼ぎから経済合理性が失われる
> >AIが研究プランを決めて人間が下請けで泥臭い作業をして研究した場合、既存の基準で博士号を与えていいのかどうか議論を呼びそう
> >AIは指揮命令しているわけではなく、「AIと相談して私が決めました」との境界は不明瞭
> つまり,AIが発展したところで人間自体は全く賢くなっていないにも関わらず,人間が賢くなるための地道な経験値稼ぎをAIにやらせたらそりゃ,人間は馬鹿なままじゃないか,とゆー話.馬鹿に博士号はやれんよ…….
要約
研究プロセスでAIが高度な支援を行い、人間が単なる「下請け作業」に留まる場合、博士号取得の意義や基準が揺らぐ可能性がある。AIを用いれば圧倒的なスピードで知見を得ることができるが、それは人間の自律的な研究能力を育てる経験にはならず、結果として「賢くなっていない人間」に博士号を与えるべきかという問題が生じる。
解説
AIが論文や参考資料を瞬時に整理し、研究プランや方向性を示せる状況では、人間研究者が本来苦労して培うべき探究能力や判断力が育たない懸念がある。その中で人間は指示に従うだけになり、博士号本来の価値(自立的な研究遂行能力)が失われる。この問題は今後AI時代の学術評価の在り方を問い直すことになる。
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私の考え
博士号は本来、自力で新しい知識を生み出す資質—探究心、方法論を組み立てる能力、結果を批判的に評価し、学術的価値を自律的に判断する力—を示す証だ。AIが情報収集・分析・計画立案を高速かつ自動で行う中で、人間がただ「
下請け作業」をするだけでは、研究者としての核心的素養が磨かれず、「新規性の発見」「独立した思考」が希薄になる懸念がある。
しかし一方で、研究スタイルや必要なスキルも時代と共に変わる。従来は膨大な文献読解やデータ処理の「
泥臭い」工程こそが思考力を鍛える訓練場だったが、AIによる自動化で、より上流の「本質的アイデア創出」や「
問いの立案」、「社会・学術的
意義の判断」が人間の役割として際立つ可能性がある。もし人間がそうした創造・評価・批判の能力を軸に、新しい形で学問的貢献を立証できるなら、それは依然として博士号に値する。
結局は「博士とは何か」という定義を再考する必要があるだろう。AIが当たり前になった未来では、純粋に手動の作業能力ではなく、AIを手段として使いこなし、そこで得た知見を独自の思想と結びつけ、人類の知を発展させる創意工夫こそが評価基準になる。その結果、新たな「博士のかたち」が生まれるはずだ。
それはまあ「人間がそうした創造・評価・批判の能力を軸に、新しい形で学問的貢献を立証できるなら」だよね。
創造・評価・批判の能力を身につけることができるか、その能力が「AIにはないもの」として価値を持つか、
経験値稼ぎから
経済合理性が失われた場合にどのようにして経験値稼ぎができるのか。
私の考え
確かに、「人間が創造・評価・批判の能力を発揮すること」を前提にしている点は大きな問いをはらんでいる。そもそも、こうした能力は膨大な試行錯誤や原典資料との格闘を通じて培われてきた。もしAIがそれらの「経験値稼ぎ」の泥臭い部分を代行し、人間がそこにコストを払う経済的合理性が消えれば、従来型の熟練やスキル形成プロセスは崩壊する。従来、人は知の獲得過程で「時間と労力」という通貨を払い、その対価として批判的思考力や独創性を獲得した。だが、この「支払い」の必要が薄れれば、自然発生的な熟達は困難になるだろう。
ではどうすればいいか。
一つの方向性は、教育や評価システムを変えることだ。人間が「本質的な問いを立て、コンテクストを理解し、価値判断を行う」ことそのものを訓練・評価する仕組みづくりが必要になる。端的に言えば、「
練習試合」や「
模擬戦」を強制的に課すような状況を創り出し、AIがいくら便利でも、人間が自ら問題設定や解釈を試みなければならない場を人工的に維持する手がある。これは受験や論文審査など、既存の制度を高度化した「シミュレーション的な訓練環境」の整備かもしれないし、経済的なインセンティブとは別に学術的・文化的な価値規範を強化する道かもしれない。
最終的には、技術発展による「経験値稼ぎ」の消失を前提とした新しい学問的修練環境と、その価値を社会的に共有する枠組みを作る以外にない。これがうまく機能しなければ、人間が「AIにはない価値」を獲得・保持し続けることは難しくなる。
つまり経済的な価値では正当化できないので、「
名誉」のような別種の価値を重視する社会規範を高めるしかないということか
私の考え
経済的動機が失われれば、熟練や独立した思考能力を身につけるインセンティブは経済合理性からは生まれにくい。そうなれば、学問的名誉や文化的評価、専門家コミュニティ内での尊敬など、非経済的な価値づけがスキル習得を促す主な理由となる可能性がある。要するに、「名誉」や「
自律的成長」など、経済以外の規範や価値観を強化することが、今後の人間的熟練や創造性の担保策として有力になるだろう。