NISHIO Hirokazu[Translate]
リグニン
地上に進出した植物が、より高いところに伸びた方が日光を得られるので競争を始める
リグニンを発明する。細胞壁にリグニンを蓄積すれば、細胞が死んで細胞壁だけになっても巨大な樹木を支えるのに十分な強度が出る
この新しく作り出された化合物を分解できる生物はいなかったため、倒れた木材などが腐ることなく蓄積していく
その木材がのちに石炭になったことによって、この時代が石炭紀と呼ばれるようになる
石炭紀末期頃(約2億9千万年前)に白色腐朽菌がリグニンを分解できるようになる
地上にゴロゴロしていた木材をこの細菌が分解しまくる
結果、この時期以降石炭の量が激減し、石炭紀ではなくペルム紀と呼ばれるようになる。


GPT5リグニン(lignin)
木材の主要成分の1つで、セルロース繊維を固める “樹脂状の骨格/接着剤”。
多糖ではなく、フェニルプロパン由来の芳香族高分子(ベンゼン環を含む)。
加熱で分解すると フェノール類グアイアコール等)を多く出し、煙の「燻製っぽい匂い」の源にもなる。

GPT5
木の主要成分 リグニンは、「同じ形の部品」をたくさんつないだ巨大高分子です。その“部品(モノマー)”の代表が
です。どちらも「フェニルプロパン骨格(C6–C3)」の芳香族ユニットで、違いは ベンゼン環につくメトキシ基(–OCH₃)の数。

グアイアシル単位(guaiacyl, G)
由来:コニフェリルアルコール(coniferyl alcohol)
特徴:ベンゼン環に メトキシ基が1個
傾向:針葉樹(ソフトウッド)に多い
熱分解で出やすい匂い成分:グアイアコール(guaiacol) 系が目立ちやすい

シリンギル単位(syringyl, S)
由来:シナピルアルコール(sinapyl alcohol)
特徴:ベンゼン環に メトキシ基が2個
傾向:広葉樹(ハードウッド)に多い
熱分解で出やすい匂い成分:シリンゴール(syringol) 系が目立ちやすい

リグニンは、まず植物が モノリグノールという原料を作り、それを細胞壁で重合してできます。原料は主に3種:
p-クマリルアルコール → H単位
コニフェリルアルコール → G単位
シナピルアルコール → S単位

ここで S単位(シナピル)を作るには追加の改造(5位の水酸化+メトキシ化)が必要で、そのための酵素(代表として F5H や COMT など)の働きが重要になります。
針葉樹(裸子植物):この「Sを作る側」の経路が弱い/ほぼ無いことが多く、結果として Gが中心になりやすい
広葉樹(被子植物):その経路が発達しており、Sが増える(S/Gが上がる)

それで何が変わる:材料特性のトレードオフ
SとGの差は「ベンゼン環のメトキシ基の数」で、これが 結合の仕方に効きます。
G(メトキシ1個):環の“空き”が多く、C–C結合などの“凝縮(コンデンス)”した結合が増えやすい
→ 硬い・腐りにくい・分解されにくい方向
S(メトキシ2個):環の“空き”が少なく、凝縮が起きにくく、相対的に β-O-4 みたいな切れやすい結合が増えやすい
→ 加工(パルプ化)されやすい・化学的にほどけやすい方向


β-O-4(ベータ・オー・フォー)は、リグニンの中でいちばん多いことが多い 結合様式(リンク)の名前です。正式には β-O-4アリールエーテル結合(β-aryl ether bond)。

何と何がどう繋がってる?
リグニンは **G単位(グアイアシル)**や **S単位(シリンギル)**みたいな芳香族ユニット(C6–C3)がラジカル反応で次々につながった高分子です。
β:片方のユニットの「側鎖(プロパン鎖)」の β位(2番目の炭素)
O:酸素(エーテル結合)
4:もう片方のユニットの芳香環の 4位(パラ位)(のフェノール酸素側)
つまりあるユニットの β炭素 - O(酸素) - もう一方のユニットの 芳香環(4位側)で繋がった エーテル結合が β-O-4 です。

なんで重要?
多い:天然リグニンで頻出(=性質を大きく決める)
比較的“切れやすい”:C–C結合で直結したリンクより、一般に 化学処理や熱で切断されやすい
→ パルプ化・バイオマス分解で「どれだけほどけるか」に効く

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