不公平知覚
不公平知覚(perceived injustice / unfairness perception)は、
定義:ある出来事や扱いを「正当な基準から外れて不当だ」とそう評価している主観的な認知のこと。実際に不公平かどうかではなく、「そう見える/感じられる」ことを指します。
何と違う?
正義感受性(justice sensitivity)=不正を見つけて強く反応しやすい性格特性(傾向)。
不公平知覚=場面ごとに起きる状態レベルの評価や、その頻度(どのくらい不公平を見ていると思うか)。
3. 対人(相互作用)の不公平:
無礼・偏見・尊重欠如
4. 情報/説明の不公平:理由・情報の開示が不十分・不誠実
視点:
被害者視点(自分が割を食っている)
観察者視点(他人が不当に扱われている)
加害者視点(自分が他人に不当をしてしまったかも)
測定の仕方(例):自己報告尺度で
「私は日常で不公平な扱いをしばしば目にする/受ける」等をリッカート評定
具体的事例の想定(ビネット)に対する「どの程度不公平だと感じるか」評定
研究分野によっては、痛み領域のIEQ(Injustice Experience Questionnaire)や、職場の組織的公正(分配・手続・相互作用)尺度で近接概念を測ります。
関連する心理過程:
高い不公平知覚は怒り・敵意帰属バイアス・不信と結びつきやすく、反応的攻撃・抑うつ・ストレスのリスクを上げる一方、内部告発・規範是正行動とも関連し得ます。
簡単な数理的見方(参考):
実際に得た量 $A$ と「妥当だと思う量」$C$ のズレ(例:$A/C$ の偏り)が大きいと不公平知覚が生じやすい、という定式化が文献にあります。
要するに、不公平知覚は「出来事の評価」、正義感受性は「評価しやすさという特性」。研究や介入では、この二つを分けて考えると見通しが良くなります。