興味深い事例が台湾にあります。台湾では、FacebookやGoogleなどの大手プラットフォームに詐欺広告が深刻な社会問題となっていました。2023年4月から2024年9月までの間に、両プラットフォームで約59,000件の詐欺広告が発見されました。警察に報告された詐欺広告のうち、実に97.9%がFacebook(Meta)から、残り2.1%のみがGoogleからでした。詐欺による1日平均の損失額は約4億台湾ドル(約12億円)に達し、そのうち約70%がFacebook広告に起因するものでした。主な手口は、AI生成画像やディープフェイクを使った偽有名人による投資詐欺や商品推薦でした。台湾市民の60%以上がMetaプラットフォームで詐欺メッセージに遭遇したと回答しています。^[CommonWealth Magazine「Facebook at the Heart of Why Taiwan Can't Stop Scams」]
この深刻な社会問題にどう対処すべきか。政府が一方的に規制を決めるのではなく、市民の声を聞いて政策を決定するべきではないか。そこで2024年3月23日、台湾デジタル発展部は、スタンフォード大学熟議民主主義センターおよび国立陽明交通大学科技與社会研究所と連携し、「AIを活用した情報完全性の向上」をテーマに、ミニ・パブリックスの手法を用いた大規模な市民熟議を実施しました。^[Stanford Deliberative Democracy Lab「Taiwan Deliberation on Utilizing AI to Enhance Information Integrity」https://deliberation.stanford.edu/taiwan-deliberation-utilizing-ai-enhance-information-integrity および台湾デジタル発展部「Utilizing AI to Enhance Information Integrity Citizens' Deliberative Assembly」]