NISHIO Hirokazu[Translate]
感情-人を動かしている適応プログラム
レビュー
>私はこの著作を10年以上前に読んだが、日本の心理学者が「進化心理学」の走りのようなことをしているのに驚いた。著者は、アージ理論という独自の情動理論をつかって、「原始人」にとって、感情が適応的であったことという。
> これは、現代アメリカの主流の進化心理学者であれば、原始的適応環境のホミニッドにとって、感情というのは「試行」する必要がない第一次的な情報処理と反応として、適応価が高かったのだろうという。言っていることは全く同じでも、用語が違う。
> 著者の理論は独創的だと評価しえるが、いかんせん、1980年代までの人への社会生物学の応用、たとえば、エドワード・ウィルソンの「社会生物学」(1975)、デイリーとウィルソンの「人が人を殺すとき」(1988)などをまったく引用していない。90年代以降、現代に続く進化心理学と同じ発想であったにもかかわらず、関孝和のようにその和算は現代の研究者から引用されていないのだ。これは日本の学界の現状を象徴しており、たいへんに残念である。

関連
>「試行」する必要がない第一次的な情報処理

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