>@philomyu: 昔拙著にも書いたことなんだけど、社会保障とか最低賃金とかの仕組みが成立した背景調べてたら「非生産的な仕事させて酷い待遇しか出せない社会の寄生虫みたいな会社のさばらすと国のためにならないから労働者が安心して辞められるようにしようぜ」という議論が元になっててウケたことがある。
>貧困との戦いとしての社会保障論
>ウェッブ夫妻とナショナルミニマム
>ベアトリス・ウェッブはこの委員会の報告書のなかで、公的職業斡旋所(現在の日本におけるハローワークに近い)の創設と公共事業によって、失業者を減らすべきだと提言した。また、どうしても働けない場合には「ナショナルミニマム」、すなわち「健康で文化的な最低限の生活」を政府が保障すべきという考え方を述べた。
>また、ウェッブ夫妻は児童労働を禁止して義務教育を与えることや、労働者の安全と健康を守ることが労働者の能力や勤労意欲、ひいては産業としての生産性を高めると考えた。一方でこうした配慮がなく、経済的効率の悪い産業は、いつまで経っても労働者に低い賃金しか支払わない「寄生的産業」であると呼んだ。 ウェッブ夫妻は、寄生的産業をいかに転換していくか、が英国経済において重要であると主張したのである。
>これはつまり、政府が労働者に対してナショナルミニマムを保障すれば、寄生的産業は働き手がいなくなって潰れるし、ナショナルミニマム以上の賃金を支払える高効率な産業のみが栄えることになるという考え方である。
>現代の日本においても、低賃金しか出さず、従業員の生産性向上に投資せず、安全や健康を守らないために時として精神疾患さえ生み出すような、 「ブラック企業」と呼ばれる職場が散見される。彼らもウェッブ夫妻に言わせれば寄生的産業ということになるだろう。
>こうした背景から1909年には「最低賃金法」が成立した。1911年には「国民保険法」が成立して、イギリスに公的かつ、強制加入の健康保険と失業保険制度が誕生する。また強制保険としての年金制度も1908年には誕生している。ただし、ウェッブ夫妻は「失業自体をなくすこと」にこだわる立場から、失業保険制度には反対であったそうだ。
>なお公的な強制加入の失業保険制度を世界で最初に導入したのはイギリスだが、健康保険と年金保険は1880年代に前述の「自分の経験より、他人の経験から学ぶことを好む」 鉄血宰相ビスマルクによって、世界に先駆けてドイツで導入された。イギリスはこれにならった形で導入をしている。