超高速すりあわせマシン
すりあわせとはなんであるか
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前のページの主張は「AIによって言語化コストが下がり、すりあわせの成果が design rules に資本化され続ける(すりあわせ→モジュラー化のパイプライン)」でした。今回のタネはそこから一歩踏み込んで、AIをモジュラー化の触媒ではなく、すりあわせそのものを実行する機械と見る転換です。
このタネが面白いと思うのは、モジュラー化の経済的根拠を掘り崩す可能性がある点です:
Baldwin & Clark 的には、モジュラー化の価値は「
調整コストが高いから interface で切って並行開発する」ことにありました。すりあわせが超高速・低コストで実行できるなら、切る理由自体が弱まる。インテグラル型の品質を、インテグラル型の調整コストを払わずに得られることになる。
「すりあわせ」の人間コミュニケーションコストはほとんどの現場でまだ軽くなってないと思うな

前ページの「残る緊張」——interface に載らない残余があるからインテグラルすりあわせを完全には廃止できない——に対する回答にもなっています。残余の処理コストが下がるなら、資本化が不完全でも困らない。
藤本の「
すり合わせ組織能力」は暗黙知を持つ人間の濃密な直列調整が前提で、それが日本企業の模倣困難な強みでした。すりあわせが工作機械で買えるものになるなら、その強みはコモディティ化する、という産業論的な含意も出ます。
一方で緊張も残ります。人間同士のすりあわせは暗黙知の相互浸透ですが、AIがやるのは提案‐フィードバックループの高速回転で、それが同じ「すりあわせ」なのか——ここが「すりあわせとはなんであるか」という本文の問いの立て方と噛み合っています。
「工作機械」という語の選択も効いていて、工作機械は「機械を作る機械」(マザーマシン)なので、「すりあわせマシン」は成果物を作るのではなく、部品間・人間間の調整という生産工程そのものを機械化する、というメタな位置づけが一語で示せています。