錦の御旗
「錦の御旗」とは?
直訳: “brocade imperial banner(錦の旗)”。
比喩的意味:誰も反対しにくい“
絶対正義の旗印”。議論を打ち切ったり、人を動員するための便利な正当化。
英語話者に通じる言い換え
“an unimpeachable banner of legitimacy”(反論しにくい正当化の旗印)
“a sacred banner to rally behind”(神聖視される旗印)
近い慣用句:wrap oneself in the flag(愛国などの大義で身を包む)、take the moral high ground(道徳的高地を取る)
ニュアンスの注意
価値そのものを貶すわけではなく、それを“
御旗”として振りかざす振る舞いを指して批判的に言うことが多い。
「大義名分(grand justification)」に近いが、錦の御旗はより権威と動員力の含意が強い。
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錦の御旗の歴史的エピソード(要点)
起源(中世)
錦の御旗=朝廷の公式軍(
官軍)のしるし。赤い錦に日・月などを配した旗で、**承久の乱(1221)**で後鳥羽上皇が与えたのが初見とされる。 (
デジタルアーカイブズ)
幕末・製作の舞台裏
戊辰戦争の初戦・
鳥羽伏見の戦い(1868)に先立ち、岩倉具視の依頼で大久保利通・品川弥二郎らが錦旗を用意していたことを示す書簡の原本が確認されている(京都歴彩館所蔵資料)。(
朝日新聞)
朝廷の“公式化”
開戦後、朝廷は仁和寺宮嘉彰親王に錦旗と節刀を下賜。これにより新政府軍は正真正銘の「官軍」となり、法的・心理的な正統性を得た。 (
ウィキペディア)
戦場での効果(鳥羽・伏見 1868/1/27–30)
ただし評価の揺れ
一部の解説では、敗勢は錦旗到着前から決しており、旗そのものが勝敗を直接決めたわけではないとする見方もある(装備差・士気差など)。(
Japaaan)