Hierarchical conditions of anonymity

PDF(2009)

1. コンピューター介在コミュニケーション（CMC）における匿名性について、日本と西洋の比較研究を行いました。

2. 結果として、日本のCMCの方が西洋よりも高い匿名性を示す傾向が見られました。日本のユーザーは、匿名性の階層モデルにおいて、一段階高いレベルを好む傾向がありました。

3. インターネットフォーラムについて：

- 日本の「2ちゃんねる」は完全な匿名性を許容しており、西洋にはこれに相当するものがありません。

- Slashdotでは、日本語版ユーザーの57-69%が完全に匿名だったのに対し、英語版では21-25%でした。

4. ソーシャルネットワーキングサイト（SNS）について：

- MySpaceでは、日本のユーザーの51-60%がアバターを使用していましたが、アメリカのユーザーでは12-24%でした。

- 日本のSNS「mixi」では、83-95%のユーザーがアバターを使用していました。

5. 著者らは、この現象を単純に個人主義vs集団主義という文化的二分法で説明することに疑問を呈しています。この東西の差異に関する従来の仮説に挑戦する研究結果もあるためです。

6. 匿名性の好みに影響を与える他の要因として、サイト固有のミクロ文化、プライバシーへの懸念、インターフェースデザイン、携帯電話文化、ユーザーの社会経済的背景などが挙げられています。

7. サイトの報酬-罰則システムが、匿名性のレベル単独よりも行動を予測する上で重要かもしれないと指摘しています。

8. 著者らは、東西の大まかな一般化に頼るのではなく、文化内および文化間のより広範な変数を検討する包括的な研究の必要性を訴えています。

結論として、匿名性の好みに明確な違いが観察されましたが、著者らは単純な文化的説明を避け、このトピックに関するより細やかな研究を提唱しています。

集団主義と解釈することを避ける理由について詳しく

はい、集団主義と解釈することを避ける理由について、より詳しく説明いたします。

1. 従来の仮説への疑問:

この論文の著者らは、日本人のCMCにおける高い匿名性の好みを単純に「集団主義」の表れとして解釈することに疑問を呈しています。これは長年、日本を含む東アジア文化は集団主義的で、西洋文化は個人主義的であるという広く受け入れられてきた仮説に挑戦するものです。

2. メタ分析の結果:

著者らは、個人主義（IND）と集団主義（COL）を評価した83の研究のメタ分析を引用しています。この分析では、アメリカ人が多くの国々よりもINDが高かった一方で、驚くべきことに日本人よりもCOLが高いという結果が出ています。

see Rethinking individualism and collectivism: Evaluation of theoretical assumptions and meta-analyses

3. 測定尺度の信頼性:

高信頼性の尺度を使用した研究では、アメリカ人のCOLが日本人より高く、低信頼性の尺度を使用した研究では両者がほぼ同等でした。しかし、多くの異文化間研究が低信頼性の尺度を使用しており、これが日本人の集団主義が高いという一般的な見解につながっている可能性があります。

4. 構成概念の妥当性:

これらの結果は、文化的な個人主義・集団主義を測定する際の構成概念の妥当性に疑問を投げかけています。つまり、これらの概念が本当に意図したものを正確に測定しているかどうかが不明確なのです。

5. 東アジア内の差異:

同じメタ分析では、韓国人のCOLがアメリカ人と同程度で、中国人のCOLがアメリカ人よりもはるかに高いことも示されました。これは「東洋」を一括りにする危険性を示しています。

6. 他の要因の考慮:

著者らは、CMCにおける匿名性の好みを説明する際に、個人主義vs集団主義以外の要因も考慮すべきだと主張しています。例えば、特定のSNSやフォーラムのミクロ文化、プライバシーへの懸念、インターフェースの特徴、携帯電話文化の影響、ユーザーの社会経済的背景などが挙げられています。

7. より包括的なアプローチの必要性:

著者らは、文化内および文化間のより広範な変数を考慮に入れた、より包括的な研究アプローチを提唱しています。これにより、CMCにおける匿名性の好みをより正確に理解し、単純化された文化的説明を避けることができると考えています。

要するに、著者らは、CMCにおける匿名性の違いを単純に集団主義vs個人主義の文化的二分法で説明することは、複雑な現実を過度に単純化する危険性があると警告しています。代わりに、より多様な要因を考慮に入れた、より細やかな研究アプローチを推奨しているのです。