NISHIO Hirokazu[Translate]
ロザンヴァロンとハーバーマス
GPT5
両者とも、選挙代表制だけでは民主主義が回らない(=正当性が持続しない)という前提に立つ。
ロザンヴァロンは、民主主義を「信任」ではなく「不信(distrust)」の回路から読み直し、社会が権力に圧力をかける実践として surveillance / prevention / judgment を取り出す。
ハーバーマスは、民主的正当性を「討議(deliberation)」の手続きに置き、フォーマル(政治システム)とインフォーマル(市民社会)という二つの公共圏の連動として構想する。

両者は「民主主義の仕事」を違う場所に置く。
ハーバーマス:正当性の生成(legitimacy production)
重要なのは「意見がどう形成され、どう“理由”として公共に提示され、制度がそれをどう吸い上げるか」
公共圏は、制度が自力では見つけにくい問題を見つける“発見の場”にもなる(=制度の外で課題が発見される)。
ロザンヴァロン:正当性の維持・防衛(legitimacy maintenance)
選挙で付与された正当性が「任期中に腐る」ことを前提に、
監視・抑止・審判でズレを矯正する(社会が“圧力”をかけ続ける)。
つまり
ハーバーマスは「どう納得して決めるか」
ロザンヴァロンは「決めた後にどう暴走させないか」

噛み合うポイント
(A) ロザンヴァロンは、ハーバーマスの“制度外”を現実寄りにする
ハーバーマスのインフォーマル公共圏は、理想的には“より良い議論”の場なんだけど、現実には「議論」よりも「監視・告発・圧力」になりがち。
ロザンヴァロンはそれを「堕落」じゃなくて 民主主義の別モードとして理論化する。
(B) ハーバーマスは、ロザンヴァロンの“負の政治”に出口を作れる
counter-democracyは放っておくと「止める」「疑う」「裁く」が強くなって、**永続的拒否vetoの常態化)**に寄りやすい。
ハーバーマス的な発想(理由付け・討議・翻訳)を入れると、
監視=情報を集める
抑止=一旦止める
で終わらず、
何が問題で、何を変えればよいか
へ“翻訳”して制度に戻せる。

SEPが紹介しているハーバーマスの「インフォーマル→フォーマルの閾で翻訳が必要」という発想(本来は宗教言語の問題で出てくる)も、ここに一般化して使える。

ぶつかるポイント
ハーバーマスは「非強制的なコミュニケーション」「理由の力」を理想に置く
counter-democracyは「スキャンダル化」「晒し」「ボイコット」「圧力」など、必ずしも熟議的でない手段で動く
ここを放置すると、監視の回路が“議論の回路”を破壊する(=疑いが疑いを呼び、理由が通らない)になりやすい。
なので統合の要点はこれ:
counter-democracy を「熟議の敵」ではなく、熟議が成立する条件(腐敗・隠蔽・権力濫用の抑制)を作る装置として位置づけ直す。
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