ジェンドリンと西田の時間哲学

西田幾多郎の哲学とジェンドリンの心理学には、時間の捉え方において興味深い共通点があると思われます。
一方、ジェンドリンは時間を直線的に進行するものとしてではなく、未来と過去が交差しつつ生起するものとして捉えています。彼の
プロセスモデルでは、「
暗在的含意」のなかへ生起することによって時間が生み出されると考えられています。つまり、時間は直線的に過去から未来へ向かうのではなく、過去と未来を行き来しながら、それらを変化させつつ生じるのです。
このように、西田の哲学とジェンドリンの心理学は、時間を生きられた経験の動的な過程として捉える点で共通しており、意識や言語化される以前の層に時間の本質を見出そうとする姿勢も似ています。ただし西田が純粋に哲学的な思索を展開したのに対し、ジェンドリンは
心理療法への応用を視野に入れている点は異なります。しかしその差異を超えて、両者の
時間論には示唆に富む接点があると言えるでしょう。