直接に与えられるもの
西田によれば、
構成的思惟に対して直接に与えられるものは、感覚や知覚といった思惟によって構成されたものではなく、
主客合一の
芸術的直観の世界である。我々の現実の意識は、単に認識対象の世界につながっているのみならず、
超認識的世界にも直結している。
我々は現在のみを直観すると考えがちだが、過去を想起するということは過去を直観することに他ならない。記憶において繰り返されるのは感覚そのものではなく、感覚の背後に含まれていた超感覚的なものの発展である。
以上のように、この論文では西田哲学の根本概念である純粋経験や直観について、「
意識現象の根底にある超意識的なもの」という観点から考察が深められています。難解な内容ではありますが、西田独自の
時間論や
認識論の核心に迫った重要な論考と言えるでしょう。