NISHIO Hirokazu[Translate]
スーパーノート
NotebookLM
スーパーノートの主な目的は、多数の参加者から寄せられた質問や意見の本質を捉え、それを包括しつつ、より説得力のある質問形式として再構成すること

スーパーノートは「質問の定式化」を行うためにAIを活用します
参加者から寄せられた多くの類似した、または関連性のある質問群の中から、その核となるエッセンスを抽出し、一つの包括的で説得力のある質問として生成します
スーパーノートの生成は、生成的集約と呼ばれるプロセスの一部であり、広範な意見聴取(ブロードリスニング)熟議プロセスへと移行する際に役立ちます
これにより、事前にすべての選択肢を用意する必要がない「生成的な世論調査(Poll)」の選択肢を提供することが可能になります
初期の課題解決
スタンフォード大学のデジタル熟議民主主義プラットフォーム(Stanford Online Deliberation Platform)の初期の実験では、参加者からの質問投票において、上位の質問が非常に似通っているため、貴重な質問時間を無駄にしてしまうという問題がありました
スーパーノートは、このような重複する質問を統合し、多様な意見を反映した少数精鋭の質問を抽出するために提案されました
実際、このアイデアは後にプラットフォームに実装されています
これ実際やってみた経験としてはsli.doの進化系nishio
熟議の結果として「後のパネルセッションで有識者に何を質問するか」を集団的に決めている
振り返って考えるとSli.doは投票なわけ

課題
根拠付け(Groudning)の必要性
ハルシネーションのリスクを避けるため、スーパーノートの生成は、非常に具体的な主張に根拠づけられる必要があります
生成的な集約では、誰もプロセスから無視されたと感じないようにする「防御的な集約」が重要になります
例えば、「比例拒否コア(Proportional Veto Core: PVC)」という厳密なアルゴリズムを使用することで、質問者の一定割合が自分たちに関係のない議題を拒否できるように計算し、厳密性を保つアプローチが議論されています

公開されている論文「AI and the Future of Digital Public Squares」では、「スーパーノート」という用語自体は使用されていませんが、その機能に相当する概念は「要約とセンスメイキングSummarization and Visualization for Sensemaking)」および「生成的な社会選択Generative Social Choice)」として記述されています。
LLMによる要約と統合: LLMは、大規模で複雑な会話を効率的に要約・統合(Synthesize)し、政策立案者に役立つ形に蒸留する機会を提供します。
生成的な社会選択:
LLMを社会的選択理論と組み合わせて、異質な集団を正確に代表する一連の声明(アイデアや質問)を生成するフレームワークが提案されています
これは、参加者のフィードバックとLLMの統合を通じて、参加者の支持を最大化する声明を生成することを目指しており、スーパーノートが持つ「包括的な質問の生成」という役割と本質的に一致しています。

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