Audrey Tang が Glen Weyl らと共著した『Plurality』では、価値観が多様でも “重なり合い（overlapping consensus）” を見つける協調型メカニズムを提唱します。これは 人権を権威主義的に押し付けず、しかし普遍的価値として抜かない ための設計思想で、デジタル熟議ツール（vTaiwan、Polis など）の運用経験を踏まえています。

テーマにドンピシャな「押し付けない普遍性」の設計指針を、人権分野の一次資料からギュッと整理しました。

出発点：普遍性は“規範”、実装は“文脈”

HRBA（人権に基づくアプローチ, Human Rights-Based Approach）は、「国際人権基準を規範基盤にしつつ、実装は不平等の是正と権力配分の歪みの解消に向けて運用する」枠組み。普遍性は守るが、やり方は当事者と文脈に合わせる前提です。

押し付けを避ける運用原則（PANEL）

普遍的価値を“抜かず”に、どう運ぶかの五原則です。

Participation（参加）：影響を受ける当事者が意思決定の上流から関与（提出・討議・監視）。

関連: 当事者抜きに決めるな

Accountability（説明責任）：決定理由と権利救済ルートを可視化。

Non-discrimination（無差別・平等）：差別影響を事前審査し是正。

Empowerment（力の付与）：権利主張の手段（情報・言語・支援）を提供。

Legality（適法性）：国際人権法に整合し、権利制約は法に基づく必要最小・比例で。

上記はHRBAの合意原則としてUN各機関・各国人権機関の実務で整理されています。