NISHIO Hirokazu[Translate]
労働党ブレア政権
ブレア政権=「ニュー・レイバー(New Labour)」政権
新しいリベラル」=サッチャー以後の市場経済を前提にしつつ、社会正義も守ろうとした“第三の道(Third Way)”型リベラリズム

1. ブレア政権とは?
トニー・ブレア:イギリス労働党党首(1994–2007)、首相(1997–2007)
スローガン:“New Labour, New Britain”(新しい労働党、新しいイギリス)(ウィキペディア)
背景:18年続いた保守党(サッチャー〜メージャー)の後、「労働党を現代化した中道政党」に作り替えて選挙に勝った。

政策のざっくり像
1. 経済・財政
マクロではサッチャー期の市場経済金融自由化を基本的に維持(=反・反サッチャーではない)。(ウィキペディア)
中銀の独立、インフレ目標など「信頼される財政・金融政策」を重視。
2. 福祉(「福祉から就労へ」)
ただの再分配ではなく、「就労インセンティブ」「スキル投資」を重視するワークフェア型福祉
3. 公共サービス
教育・医療などに公的投資を増やしつつ、民間手法(市場メカニズム/成果指標)も導入。
4. 社会政策
人権・少数者の権利に比較的リベラル(LGBTの権利拡大など)。(Taylor & Francis Online)
5. 外交・安全保障
アメリカとの同盟を重視、イラク戦争支持で大きな批判を受ける。

2. 「新しいリベラル」=第三の道(Third Way)
ブレア政権の思想的なラベルとしてよく出てくるのが**「第三の道(Third Way)」**と、社会学者アンソニー・ギデンズの理論です。(ウィキペディア)

古い左右との違い
ギデンズやブレアの整理で言うと:
旧来の左派(伝統的社会民主主義)
国有化・強い労組・大きな政府による再分配
新自由主義(サッチャー/レーガン型)
規制緩和・民営化・小さな政府・市場万能
第三の道(新しいリベラル)
市場経済・グローバル化を前提として受け入れる
しかし格差・排除を放置せず、「機会の平等」「社会的包摂」を国家が積極的に支える
「権利」だけでなく「責任(自己責任/社会への責任)」も強調
ブレア自身は、個人は相互依存的な存在であり、社会的連帯や社会正義と、個人の選択や市場をどう両立させるかを「新しい社会主義(social-ism)」と呼んでいます。(ウィキペディア)

3. 具体的には何が「新しい」のか?

旧労働党憲章の「国有化」をうたっていた第4条(Clause IV)の大幅改定
→ 国有化志向を弱め、「市場と公的セクターのバランス」「富の創出+社会正義」という文言に。(ウィキペディア)
「ビジネスとも組める労働党」という自画像。

② 再分配より「機会」と「能力」の重視
失業者に単に給付するのでなく、「就労支援・職業訓練」とセットにする。
教育・スキル投資・子どもの貧困対策など、長期的な「能力構築」を重視。

③ モラルの再強調
「権利を主張するなら責任も果たすべき」という倫理を強調し、「モラル・パニック」「道徳化した政治」として批判もされた。(Friedrich-Ebert-Stiftung Bibliothek)

4. 評価と批判

支持的評価
サッチャー後の政治地図の中で、労働党が「選挙に勝てる中道路線」を確立した。(ウィキペディア)
保守党と左派の二者択一ではなく、「市場+福祉」の折衷モデルとして他国の中道左派政党にも影響。

批判
左派からは
実態は「やわらかい新自由主義」に過ぎず、社会民主主義を空洞化させたとの批判。(Dissent Magazine)
不平等や金融セクターの過剰成長を放置したとの指摘。
右派からは
規制・社会支出が多く成長を阻害した、といった批判。

5. まとめ:ブレア政権と「新しいリベラル」
ブレア政権は、古典的な「労働党=反市場・大きな政府」というイメージを捨て、
市場経済を受け入れつつ社会正義も追求する“第三の道”型の中道左派として位置づけられる。
「新しいリベラル」は、
自由市場を前提にしつつ、
放置すれば生じる格差や排除を、国家と共同体が「機会の平等」「社会的包摂」で埋めようとする立場
として理解すると整理しやすいです。

もし興味あれば、
「第三の道」(Anthony Giddens)
New Labour の具体政策(教育・福祉・治安・イラク戦争など)
日本の「新自由主義 vs 第三の道」的な論争との比較
あたりももう少し掘り下げて説明できます。

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