NISHIO Hirokazu[Translate]
we/theyと友敵理論
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友敵理論」(Friend-Enemy Theory)は、政治哲学者カール・シュミット(Carl Schmitt)が提唱した概念で、政治の本質を「友(友人)」と「敵(敵人)」の区別にあるとする理論です。ここで「友」は共通の価値観や目標を共有する者たちを指し、「敵」はそれに対抗する異なる価値観や目標を持つ者たちを指します。この理論を「we/they」の言語表現と関連付けることで、社会的な対立やアイデンティティの形成にどのように影響するかを理解することができます。

「We/They」と友敵理論
we」と「they」は、日常会話や政治的・社会的な議論において、グループ間の対立やアイデンティティを表現する際によく使用される代名詞です。「we」は話者自身を含むグループを指し、「they」はその外部のグループを指します。これらの言葉の使い方は、友敵理論と密接に関連しています。

「We(我々)」の使用:
「we」を使うことで、話者は自分自身を含む特定のグループを強調します。これは、そのグループが共有する価値観、目標、または信念を強調する際に有効です。
例えば、「We need to stand up for our rights.(私たちは権利のために立ち上がらなければならない)」と言う場合、「we」は共通の目的や価値観を持つ「友」を示します。
「They(彼ら)」の使用:
「they」を使うことで、話者は自分たちのグループから異なるグループを区別し、対立関係を示します。これは、敵意や不信感を表現する際に使われることが多いです。
例えば、「They are trying to take away our freedoms.(彼らは私たちの自由を奪おうとしている)」と言うとき、「they」は「敵」を表し、自分たちのグループに対する脅威として描かれます。

友敵理論と「We/They」の対立
「友敵理論」において、「we/they」の区分は、友と敵の明確な区別を作り出す言語的手段として機能します。この区別は、政治的や社会的なアイデンティティを形成し、強化するために使われます。特に、次のような状況で顕著です:
グループアイデンティティの強化: 「we」という言葉は、グループ内の団結と連帯感を強化するのに役立ちます。これにより、グループメンバーは共通の目標に向かって団結しやすくなります。
外部グループの敵対化: 「they」という言葉は、外部グループを敵として位置づける際に使用されます。この対立は、内部グループの結束を強化する反面、外部グループに対する敵意や不信感を助長する可能性があります。

結論
「we/they」の使い方は、友敵理論における「友」と「敵」の区別と深く関連しており、社会的・政治的な文脈での対立や協力の構築に重要な役割を果たします。言語を通じて友と敵を区別することで、グループのアイデンティティを強化し、内部の結束を促進する一方で、対立を生み出す原因にもなるのです。このように、言語の使い方は社会的なダイナミクスに大きな影響を与えることが分かります。

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日本語における主語省略は全ての人を指すことができるが、英語でweと表現した場合、暗黙にその規範に従わないtheyの存在が仮定されてしまうのでは?

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確かに、日本語と英語では主語の省略や使い方が異なり、その結果として生じる含意も違います。

日本語の主語省略と普遍性
日本語では主語を省略することが一般的で、そのため特定の主体を意識せずに発言することができます。例えば、「勉強しなければならない」という表現では、主語が明示されていませんが、「すべての人がその状況では勉強するべきだ」という一般的な規範として理解されます。主語を省略することで、具体的な対象を限定せず、普遍的なメッセージを伝えることができます。

英語における「We」と「They」の含意
一方、英語では主語を明示することが基本であり、「we」という主語を使うと、そのグループ(話者を含む)が意識されます。「We should study」という場合、話者が含まれる特定のグループが勉強すべきだと主張していることを示します。
ここで、「we」を使うことで暗黙的に「they」の存在を想定してしまう場合があります。つまり、「we」は話者が所属するグループを指し、「they」はそのグループに属さない他者を指すことが暗に示されることがあるのです。たとえば、「We follow these rules(私たちはこれらのルールに従う)」と言うと、裏を返せば「彼ら(they)はこれらのルールに従わないかもしれない」という含意が生まれます。

規範とグループの境界
日本語では、主語の省略により発話が全体に適用される一般的な規範を示すことができ、特定のグループや個人を示すわけではありません。英語で「we」を使うと、そのグループ内の共通の規範や行動を示しつつ、同時にその規範に従わない「they」の存在を暗示することがあります。
したがって、英語で「we」を使った表現は、特定のグループの行動や信念を強調する一方で、それに従わない人々(they)の存在も仮定してしまう場合があるのです。この違いは、日本語と英語の主語の使い方と、その文化的・言語的背景の違いによるものです。

nishio日本語で表現したいことを歪めずに英語に持ち込むのに、たとえばitやoneを主語にするのはどうだろう

gpt日本語の主語省略による普遍的な表現を英語に持ち込む際に、ニュアンスを歪めずに伝える方法として、「it」や「one」を主語にするのは有効な方法の一つです。これらの代名詞は、英語で一般的な事実や規範を表現するのに適しているからです。

「It」を主語にする場合
「It」を主語にすることで、具体的な個人やグループを特定せずに一般的な事実や状況を表すことができます。例えば、日本語で「雨が降ったら濡れる」を英語にするときに、「If it rains, it gets wet.」とすることで、特定の誰かではなく、一般的な現象として述べることができます。

例:
日本語:「暗くなったらライトをつけるべきだ。」
英語:「It is best to turn on the lights when it gets dark.」
このように「it」を使うと、特定の主体に限定されず、一般的な規範や習慣として表現することが可能です。

「One」を主語にする場合
「One」を主語にするのも、一般的な規範や習慣を示す際に有効です。「One」は、特定の個人を指さず、広く一般的な人を指す表現として使われます。これは、英語で普遍的なアドバイスや一般的な規則を述べるときに適しています。

例:
日本語:「勉強することが大切だ。」
英語:「One should study.」
この文では、「one」は特定の人ではなく、「誰でも」という意味で使われています。このように、「one」を使うことで、特定の個人に限定せず、広く一般的な状況に適用できる表現が可能になります。

「It」と「One」を使うメリット
「it」や「one」を使うことにより、英語でも日本語の主語省略による普遍的なニュアンスをある程度保ちながら表現することができます。特定の個人やグループを指さず、一般的な事実や規範を述べることができるため、コミュニケーションの際に誤解を避けることができます。

この方法を使うことで、日本語の抽象的で普遍的な表現を、英語でも自然に伝えることができるため、特定の人を指したくない場合や、一般的な規範を示したい場合に非常に有効です。

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