NISHIO Hirokazu[Translate]
知的生産の時間効率

> 時間効率の良い知的生産が出来ているのか分からなくて不思議な気持ちになる
>   使うと、大体「あー確かに、考えてなかったわ」という考えにたどり着く
>   でもなんか入力時間に大半が取られているので効率が悪いような感覚を覚える
>    でもScrapboxだって一緒だな
>    相手が答えろと言った物を答えている
>     自分がわざわざ書かなくても分かるようなことも入力するので、効率が悪いような感覚を覚える?

Pros
Scrapboxはリンクが使えることによって、新しいチームメンバーに同じことを何度も説明しなくても「これを読んで」で済むことによって「効率」が高い
Keichoでも、会話の途中で内部状態を保管しておけば、そこから再開することは技術的にはできる
コンソールアプリからMattermostのチャットボットに変えるプロセスで実は既にその構造になってる
Cons
同じ内容を繰り返し入力しているように思えるが、実際には少しずつ異なった出力をしている、それらを比較することによって、自分がその差に意味があると思うのか、意味がないと思うのかが明らかになる

同じ知的生産の結果を少ないコストで得ることができるならばそれは知的生産の効率が上がったと言える
だが効率を上げることが実益につながるかどうかは状況による
ボトルネックでないものをチューニングしようとするのはよくある誤りの1つ
知的生産によって生み出されるアイディアは実現して初めて価値を生み出す
であるなら実現のためのリソースの供給を超える速さでアイデアを供給しても実益がない

実装上は内部状態のスナップショットを保存しておけばそこから会話の枝分かれが可能
それをやることにメリットがあるだろうか
前にした話を踏まえてそこから枝分かれをすることができる
チャットログが1本の発言のつながりではなく枝分かれしていくツリーに変わる

現在のシステムでも近似的に実現できる
最初に「まず聞いてモード」に入り過去ログの自分の発言側だけを流し込めば良い

しかし本当にこれがユーザの求めるものだろうか
これはつまり最初の質問も含めて同じ棋譜をたどった途中から分岐する使い方
実際にはKeichoを使うケース毎回毎回最初の問いが異なるのではないか
最初の問いとはつまり「今現在何がどうなると嬉しいのか」の問いである
この問いがその後のキーワードの発展をコントロールしている

一見一見同じように見えてもその問いに至る発展経路が異なっているならばそれは異なる問いなのではないか



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