NISHIO Hirokazu[Translate]
経験的な意味での有神論的立場
経験的な意味での有神論的立場
nishio"経験的な意味での有神論的立場"とは?

claude"経験的な意味での有神論的立場"というのは、プラグマティズムの文脈で、ジェームズが提示した宗教観の一つです。

伝統的な有神論は、神の存在先験的に認め、世界はその神によって統治されていると考えます。これに対してジェームズは、神の存在を、私たちの具体的な宗教的経験に基づいて評価すべきだと主張します。

つまり、神の存在は形而上学的に論証されるのではなく、人々の信仰の実践がもたらす経験的な帰結(例えば、道徳的な導き精神的な安寧)によって裏付けられるというのです。もし神への信仰が私たちの人生に良い影響をもたらすのであれば、それは経験的に意味のある信仰だと言えます。

このような立場は、宗教的多元主義とも親和的です。なぜなら、特定の宗教的教義の絶対的な真理性を主張するのではなく、様々な信仰の形態が経験的に意味を持ち得ると考えるからです。

さらにジェームズは、この立場が、科学と宗教の対立を和らげる可能性を持っていると考えました。なぜなら、経験的な意味での有神論は、科学的な世界観と必ずしも矛盾せず、むしろ科学では扱えない領域での人間の経験の意味を補完するものだと考えられるからです。

このような宗教観は、個人の主観的な宗教経験を重視する現代の宗教心理学の考え方などにも影響を与えています。また、原理主義的な宗教観に代わる柔軟な宗教のあり方を模索する上でも、一つの示唆を与えてくれる考え方だと言えるでしょう。

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