経験的な意味での有神論的立場
経験的な意味での有神論的立場

"経験的な意味での有神論的立場"とは?
伝統的な
有神論は、
神の存在を
先験的に認め、世界はその神によって統治されていると考えます。これに対してジェームズは、神の存在を、私たちの具体的な宗教的経験に基づいて評価すべきだと主張します。
つまり、神の存在は形而上学的に論証されるのではなく、人々の
信仰の実践がもたらす
経験的な帰結(例えば、
道徳的な導きや
精神的な安寧)によって裏付けられるというのです。もし神への信仰が私たちの人生に良い影響をもたらすのであれば、それは経験的に意味のある信仰だと言えます。
このような立場は、
宗教的多元主義とも親和的です。なぜなら、特定の宗教的教義の絶対的な真理性を主張するのではなく、様々な信仰の形態が経験的に意味を持ち得ると考えるからです。
さらにジェームズは、この立場が、科学と宗教の対立を和らげる可能性を持っていると考えました。なぜなら、経験的な意味での有神論は、
科学的な世界観と必ずしも矛盾せず、むしろ科学では扱えない領域での
人間の経験の意味を補完するものだと考えられるからです。