変容型ファシリテーション
p.73
p.97
場の思考パターンがどちらかの端に近づきすぎたときにその害が大きくなるので、反対側に押すアクションをするわけだな
1) 何が「変容型」なのか(狙い)
そのためにファシリテーターがやるのは、参加者を操作することではなく、
貢献(contribution)と
つながり(connection)を阻む「障害」を取り除くこと、だと説明されます。
さらに根っこでは、
愛/力/正義(love, power, justice)を妨げる障害を外す、というかなり
規範的な言い方をします(=単なる会議術ではなく、社会変革の現場で鍛えた方法論)。
2) 2つの古典的失敗パターンを往復で超える
本書の核はここです。
垂直型(トップダウン/ボス型):決まる・進むが、反発や沈黙を生みやすい
水平型(フラット/仲間型):包摂的だが、何も決まらず停滞しやすい
変容型は「どちらかを選ぶ」のではなく、状況に応じて“垂直⇄水平”を行き来する。比喩として「川を塞ぐ岩を、前後に揺すって外し、流れを回復する」と説明されています。 (
スタンフォード社会革新レビュー)
3) “10の行動”=垂直5つ+水平5つ(ペアで使う)
本書は、ブレイクスルーを起こす介入を 垂直の5手/水平の5手 として整理している、と紹介されています。
(細目は版や要約で表現が揺れるので、ここでは「どう使うか」の感覚を言います)
垂直側の介入:焦点を絞る、決める、境界線を引く、責任や次アクションを明確化する…(=流れを“収束”させる)
水平側の介入:声を増やす、関係を温める、探索する、対立を表に出す、共感や相互理解を増やす…(=流れを“発散/接続”させる)
ポイントは「バランス」ではなく往復運動で、停滞の原因が
収束不足(=決めない・曖昧)なら垂直へ
接続不足(=怖くて言えない・分断)なら水平へ
と切り替える、という設計です。

この「接続不足/収束不足」の整理はとても良い
いどばた的なシステムを使うことで
「意思決定」を求めているのは収束不足の解決
「みんなが発言できて共有できること」を目指しているのは接続不足の解決
いどばたが曖昧に両方の使い方が可能だったところから、倍速会議は収束不足の解決に軸足を移動していったように思う
4) “5つの在り方(Being)”が土台
邦訳タイトルにもある通り、カヘンは「行動(Doing)」以前に、ファシリテーターの在り方(Being)を重視します。日本語圏の詳細解説では、次の5つとして整理されています:
(ここは“スキル”というより、場の権力・恐れ・正しさの争いに飲まれず、往復運動を成立させるための内的条件、という位置づけ。)
5) どういう場面で効く?
「みんな良い人で、合理的に話せばまとまる」会議というより、
利害や価値観が割れている
既存の会議運営では、沈黙・炎上・形だけの合意・総論賛成各論反対になる
なのに一緒に進む必要がある(組織横断・行政×市民・対立当事者など)
6) 周辺の著作(位置づけ)
カヘンは「対立下での協働」「シナリオでの変容」を長年扱っていて、変容型ファシリテーションはその集大成の一つ、という見取り図が作れます。
(新しめ)Everyday Habits for Transforming Systems(2025刊の案内)
「垂直⇄水平」を“AIが介入できる箇所”として再記述する
「Three core process types」との対応表を作る(※前に読んでたJigsaw資料のやつ)
みたいに、あなたの原稿へ接続する形に落とし込みます。
アダムカヘンの変容型ファシリテーションとJigsawの3つのコアプロセスタイプの関連
3分類それぞれで「何が収束/接続」かが違う
ここが解像度アップのポイント。
同じ「垂直へ/水平へ」でも、整える対象が変わる。
1) Deliberative(決める)
収束不足 → 垂直:意思決定ルール、選択肢、評価軸、期限、責任者を立てる
接続不足 → 水平:反対意見を安全に出す、懸念の言語化、納得形成、信頼回復
「決める場」では、垂直は“手続き”、水平は“納得の回路”。
2) Generative(出す/地形を作る)
収束不足 → 垂直:問いの焦点・スコープ・フォーマット(何を出すか)を締める
接続不足 → 水平:多様な声を増やす、連想を広げる、混ぜる、他者の発想に乗る
「出す場」では、垂直は“問いの枠”、水平は“発想の多様性”。
3) Transformative(関係・学習が変わる)
収束不足 → 垂直:場の境界(ルール、時間、守秘、対話規範)、目的の再確認
接続不足 → 水平:感情・経験・価値の共有、共感、相互承認、対立の扱い
「変わる場」では、垂直は“安全な容器”、水平は“関係の編み直し”。
直観的な対応:「3分類=どの“失敗”を致命傷とみなすか」
Deliberative は「収束しない」が致命傷 → だから垂直テコ入れが頻出
Transformative は「接続できない」が致命傷 → だから水平テコ入れが頻出
Generative はどっちも致命傷になりうる(枠がないと散る/接続がないと貧しくなる)→ 往復が自然

あんまりしっくりきてないけどしばらく寝かせてみよう
Jigsawは3タイプを混ぜたり順番に並べたりすると言っていて、典型として
①Transformativeで関係性を強め
②Generativeで価値や優先をマップし
③Deliberativeで提案に合意する
という流れを例示してます。
これ、まさに「タイプの切替(Jigsaw)」と「詰まりを外す縦横往復(Kahane)」が干渉せずに同居できる形です。

ここにさっきの分類を重ねると
Transformativeで関係性を強めるときには「接続できない」が致命傷 → だから水平テコ入れ
Generative で価値観や優先順位を収集する際にはどっちも致命傷になりうる(枠がないと散る/接続がないと貧しくなる)→ 往復が自然
Deliberativeで意思決定する時には「収束しない」が致命傷 → だから垂直テコ入れが頻出
となって「水平的手法で発散させてから、垂直的手法で収束させる」となる