NISHIO Hirokazu[Translate]
再分配と勾配
自分が自分以外に対して提供した価値(give)と、自分が自分以外から受け取った価値(take)の関係を考える。

例えば「政府がすべての価値を所有し、全員に均等に平等に分配する」という形が一つの極端。
個人が労働によって生み出した価値が、その個人に帰属しない
私有財産の否定

もう一つは政府がなにもせず、個人が得たものはすべて個人のものとする
giveしたものに対応したtakeが得られるか?
市場が適切に機能すれば提供した価値に対応する対価を与える、という考え

後者は、他人に対する価値提供量の低い人が、文化的最低限度の生活を送れない

そこで政府がたくさん価値を提供している人の私有財産の一部を取り、それを価値提供量の低い人に再分配する
これが生活保護とか、失業保険とかである。

懸念点
線が水平になると価値提供を増やすインセンティブがなくなる。
頑張って自分が提供する価値の量を増やしても、自分が得られるものが変わらないからである。

そこで水平な部分がないように滑らかにつなぐとこうなる

勾配に注目する
どこかに勾配が1より小さいゾーンが来なくてはならない
自分が与える価値の量を100増やした時に、自分が得る価値の量の増分が100よりも小さいゾーン
それが価値提供の少ないゾーンにあるのは不適切では?
価値をあまり提供していない人に、価値提供をもっと増やすインセンティブがない
現状の生活保護も、それをなめらか化したものも、どっちも価値提供量が0付近で勾配も0

価値創造の少ないゾーンでの勾配が1になる、なめらかな曲線はたとえばこうなる

それぞれの再配分曲線を勾配と比較するとこうなる



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