意味づけは壊してよい
事実をどう解釈するか(意味付け)はビューに過ぎないので壊してもよい
ただし「どういう事実に基づいているのか」をたどれるようにしておくことが前提
了解。抽象は保ちつつ“設計原理”としての手触りを出します。
スローガン
参照は可逆(戻れる)/意味づけは壊してよい(戻さない)
→ これを σ/ρ 分離で保証する。
記号対応(役割の分離)
E:原体験・原文・一次資料(モヤも含む“
素材層”)
σ : E → S(表出)
“素材”を“表現”に写す。不可逆でもよい(要約・圧縮・解釈は情報を落としてよい)。
ρ : S ⇢ E(回帰)
“表現”から“素材”へ参照で戻る。完全逆写像でなくてよいが、参照路は必須。
目標:ρ∘σ ≈ Id_E(少なくとも参照点には戻れる)
何を“可逆”にするか/しないか
可逆(絶対に守る)=参照
出典・位置・タイムスタンプ・ID・ハッシュ等、素材へのアンカー
ρ はこのアンカーを辿る“道”の実装
非可逆(壊してよい)=意味づけ
要約・章立て・クラスタ・別名束ね・重み付け・最短経路…
これはビュー(S 側の状態)。破棄・上書き・再計算してよい
直観:地図の投影は壊す/緯度経度は残す。
抽象アーキテクチャ(層)
1. 素材層(E):不変。書き換え禁止。
2. 参照層(ρ用):E のアンカー表({source_id, offset/time, hash}…)。
3. 表現層(S):要約・関係・商・層・経路など“可変ビュー”。
4. 変換ログ(σ の列):S を作る操作の写像列(監査用)。
制約
S→E は参照だけ(ρ)。E を更新してはならない。
S の更新は破壊的でOK(意味づけは壊してよい)。
新しい S を作るたび、参照層に紐付けを追加(往還の道を維持)。
この分離がもたらすもの
壊せる自由:束ね方や区切り方を試行錯誤して“新規性”を出せる
責任の所在:壊してよいのは S だけ。E と参照は守る
監査可能性:任意の S の主張は ρ で E へ戻れる(出典に当たれる)
抽象チェックリスト(最低限)
1. アンカーはあるか:各主張に {source_id, 位置/時間, ハッシュ} が付く
2. 往還は生きているか:任意の表示から 1–2 クリック/操作で素材へ
3. E は不変か:ビュー更新で原素材が増減・改変されない
4. 意味づけは独立か:要約・束ね・クラスタは S 側にのみ存在
5. 差分が残るか:S の更新はバージョン/ログで追跡できる(誰が何を壊したか)
反パターン(抽象的に)
意味づけで参照を上書き:要約文だけ残して出典を捨てる(ρが死ぬ)
素材の“整形保存”:原文を編集して整合を取る(Eが死ぬ)
アンカー一元化の欠落:別表示ごとにバラバラの参照形式(往還が断線)
一言で
σでいくらでも“壊して”よい。ただしρで必ず“戻れる”道を残す。
この二重構造を保つ限り、**
新規性(壊す)と
信頼(戻れる)**は同時に成立する。

σは可逆なのでは?その後f: S→Sがいろいろ壊しても、逆写像としてのρだけ壊さずに維持すればいい、ということだよね
いい指摘。結論から言うと——
一般には σ は可逆でない(要約・抽象化を含む“表出”は情報を落とす)。
ただし設計で「可逆部分」と「不可逆部分」を分離すれば、あなたの言う構図にできる。
分解して考える(推奨設計)
σ を二段に分ける:
1. σ_ref: E → S₀(参照化)
原資料にアンカー(source_id, offset/time, hash)を付けるだけ。ロスレス。
→ ここは 可逆:ρ∘σ_ref = Id_E
2. σ_view: S₀ → S(意味づけ)
要約・束ね・分類・可視化など。ロッシーでOK。
→ ここは可逆でなくてよい。
このとき “表出” 全体は σ = σ_view ∘ σ_ref。
ρ は S→E の回帰だが、実際には アンカーにだけ作用するので
ρ∘σ_ref = Id_E を守ればよく、σ_view には逆を要求しない。
f: S→S の条件(壊してよい範囲)
意味づけ側の変換 f は壊してよいが、次を守る:
アンカー保存:ρ∘f = ρ(= 参照は不変)
これが成り立てば ρ∘f∘σ = ρ∘σ = Id_E(E には確実に戻れる)
つまりあなたの式の意図はこう言い換えられる:
ρ は σ_ref の右逆であり、S 上のどんな意味づけ変換 f も ρ を不変にする(ρ∘f=ρ)。
だから意味づけはどれだけ壊しても、参照の往復は壊れない。
まとめ
「σは可逆?」→ 参照部分(σ_ref)は可逆、意味づけ部分(σ_view)は非可逆。
実務ルール:アンカーは必ず持ち回り(ρ∘f=ρ)/原資料は不変。
これで “壊す自由”(新規性)と “戻れる道”(監査性)が同時に成立します。