NISHIO Hirokazu[Translate]
パレート最適とトレードオフと生産可能性フロンティアの関係
GPT5
以下をセットで捉えるとスッキリします。

用語の芯
パレート最適(効率):誰かを悪化させずに誰かを良化できる余地がない状態(=これ以上の“一方的な改善”がない)。
トレードオフ:ある目的(財X)を増やすには別の目的(財Y)を減らすしかない関係。費用は機会費用として表される。
生産可能性フロンティア(PPF):与えられた資源・技術で到達可能な産出の“外縁”。内側は達成可能だが非効率、外側は不可能。

三者の関係(2財で直観化)
1. PPF上=パレート最適(生産面)
PPFの任意の点では、Xをもう少し増やすにはYを減らすしかない。ゆえに“誰も悪化させずに誰かを良化”はできず、生産の意味でパレート効率。
逆にPPF内側の点は、資源のムダがあるので、両財を同時に増やす(=パレート改善)余地がある。
2. トレードオフ=PPFの傾き
PPFの傾き(絶対値)は 限界変換率 MRT = |dY/dX|。
これは「Xを1単位増やすために諦めるYの量」=機会費用を示す。
通常PPFは外に膨らむ(原点に対して凹)ので、投入が進むほど機会費用が上がる=増加する機会費用。
3. “パレート最適の集合”としてのフロンティア
多目的最適化の視点では、実現可能集合の“パレート前線(フロンティア)”がPPFに相当する。PPF上の各点は、他のどの実現可能点にも“同時に全目的で勝たれない”。

社会的にどの点が「望ましい」か(消費まで含めると)
どのPPF上の点を選ぶかは嗜好(無差別曲線)や重みづけ次第。
標準モデルでは、**無差別曲線とPPFが接する点(MRS = MRT)**が社会的最適(厚生最大)になる。

注意点
規模の経済不連続性外部性があるとPPFは折れ・非凸になり、トレードオフの強さが飛び飛びに変化することがある。
2財を超えるとPPFは高次元の面だが、上の関係はそのまま一般化できる。

要するに:
PPFは「可能集合の外縁」=パレート最適の集合で、その傾きがトレードオフ(機会費用/MRT)を与える。内側から外縁へ動くのがパレート改善。

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