NISHIO Hirokazu[Translate]
メジャーな方で呼ばれる
ある時点での技術的制約でXとYにトレードオフがある
X重視のものBとY重視のものAがあって、それぞれ別物だと思われている
技術の進歩によってトレードオフの線が変わる
この時に新たにCが可能になりこれはBのXとAのYを兼ね備えている
この時CのことをAと呼ぶのかBと呼ぶのかな明確なルールなどはなくて、みんな適当に思いついた方で読んでる
なのでだいたい思いつきやすい「メジャーな方」で呼ばれる
仮にAと呼ばれたとしよう
属性Xはすごく改善した、Yはキープ
この図に描かれてない属性Zがあって、Aはそれが高いけどCは高くないとする
従来のAに慣れている人が新しくAと呼ばれるようになったCを見て「いやZが低いじゃん」となる
BからCに進んだ人はそもそもZのことを気にしていない
(この「言葉の変化」にもう一枚図が必要な気がした)
今回のケースでは二項対立があったわけではない点が少し違う

具体例
A: 漫画
B: アスキーアートにセリフを組み合わせたコンテンツ
「やる夫で学ぶ〜」シリーズなど
C: AIで生成した絵にセリフを組み合わせたコンテンツ
Aには「絵と文章が組み合わさっている」という長所があった
その長所が得たかったが、絵を描くことのコストが高かった
そこで安価な「絵の代替物」としてアスキーアートが使われた
これがBの誕生
BはAに比べて「生産コストが低い」というメリットがある(X)
AはBに比べて「絵が綺麗」というメリットがある(Y)
技術の進歩によって「AIによる画像生成」が可能になった
安価に綺麗な絵が生成できるようになったことでCが生まれた
CをAと呼ぶことに、元々Aをやっていた人は違和感を感じる
なぜならその人たちは軸Xに価値を見出していなかったから
まず「CはAではない」と考えて、それから理由をつけようとして「Z軸で劣っている」と言う
漫画の場合で言えばCを見て「構図がワンパターン」と指摘するなどの行為
評価軸Z「構図の良さ」が導入されている
しかしBをやっていた人たちは軸Zを評価していない
なので軸Zの話が出てくることをオフトピック、論点がズレている、と感じる

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