NISHIO Hirokazu[Translate]
ネットワーク表示の読み取り

/villagepump/QuartzでObsidian Vaultを公開したページで表示されるInteractive Graphを作り手でない人が見た時に何を読み取るか知りたいという話があった
これを見た後僕が注目したものは2つある
それぞれのページを見比べてみて差が興味深いなと思った
Aは、面白い思考のテーマに対してフロー状態になって筆が走った生の文章
Bは、それを切り取ってきれいに磨いた文章
という印象を受けた
Bは抽象化されて作られたもの(抽象化産物)だと感じた
Bはわかりやすいか?
これは受け手の知識の状態による 
抽象化産物であるXを理解するには、それを支える知識が必要
知識がない状態でXだけ与えられても理解できない

なので今回のケースでBを読んでみてわからなければ、Aを読んでからもう一度読み直すのが良いのでは
Xに至る道筋がグラフで可視化されたので見つけやすくなった
理想としてはBの周囲のページを全部読んでからBを読み直すとよりよく理解できるだろう

しかしこれは高コスト

別の順番での表現
ある抽象概念Xを理解したいとする
理想として周囲のページを全部読んでから読むとよりよく理解できるだろう
しかしこれは高コスト
そこでXに至る道筋を読む
グラフで可視化されたことで見つけやすくなった



たくさんの概念からリンクされているページををPageRankのメタファーで「重要なページ」と考えがち
しかしそれは「抽象化の進んだページ」のことも多いのでは
なぜなら抽象度の高い概念は応用範囲が広いから、より多くのものと結合する
抽象度が上がることはイコール善ではない
必要最小限の抽象化する過程が重要
この文章は「書き手が思考を深める上で」の話
「情報伝達のために」の話ではない
抽象概念は伝わらなかったり誤解されたりしやすいが、仕方なく書籍は既に抽象化産物になっている、過程をシェアされることに読者が慣れてないから

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"Engineer's way of creating knowledge" the English version of my book is now available on [Engineer's way of creating knowledge]

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