NISHIO Hirokazu[Translate]
対立するラベルは近くに置く
あなたがオフィスの改善案を考えていて、色々な社員からの意見をラベルにして眺めていたら
「オフィスが寒い」
「オフィスが暑い」
という、一見矛盾するラベルが見つかったとします。

この2枚は近くに置くか、遠くに置くか、どちらが良いでしょうか。

これは近くに置くと良いでしょう。遠くに置くと空間に対立軸ができてしまうからです。

ところでこの2枚のラベルはとても抽象的です。別の言い方をするなら
川喜田二郎土の香りがない」
nishio「大地に根を下ろしてない浮き草(浮き草と樹木のたとえ)」

もっと具体的に、このラベルを書いた人にもっと具体的な話を聞いてみましょう。たとえばこんな返事が返ってきたとします。
暑い中を歩いて帰ってきた時に弱冷だと汗がひくまで時間がかかってしまう
脚が冷えるのでずっと膝掛けを使っている

ラベルに書かれていない情報が追加されて、状況がよりはっきり見えてきました。片方は暑い社外を歩いて帰ってきた時の話をしていて、もう片方はずっと社内にいる話をしています。

これを踏まえるとこの二つの意見は矛盾していません。たとえばこういう両立の案が発想されます:
一部屋強冷房の部屋を作って、そこをフリーアドレス制にして使いたい人が使えるようにするのはどう?

こうやって、一見矛盾したデータの矛盾を解消することによって、問題解決に一歩近づくのです。

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