NISHIO Hirokazu[Translate]
コアループ

GPT5
この図は、ケアの循環モデルcare cycle)を「政府―人々」の往復関係として描いたものですね。これを 6-Pack of Care と対応づけて整理します。

まず前提:6-pack of care とは
ケア倫理(特にジョアン・トロント系)で整理される、ケアが成立するための6つの規範です。
1. Attentiveness(注意・気づき)
2. Responsibility(引き受け)
3. Competence(適切にやる能力)
4. Responsiveness(受け手の反応への応答)
5. Trust(信頼)※後期に追加
6. Solidarity / Plurality(連帯・多元性)※政治的ケアとして拡張

図の4ステップ × 6-pack の対応関係
① Attentiveness(注意して聴く)
People → Government
図の左上→左下の矢印
人々の困りごと・ニーズ・違和感を可視化し、聴き取る段階
ブロードリスニング、広聴AI、世論地図がまさにここ
👉 ケアの失敗例
聞いていない/一部の声だけ聞く
「代表性の欠如」

② Responsibility(責任をもつ)
Government → Government
下辺の矢印
「それは自分たちの仕事だ」と引き受ける段階
問題を“自己責任”に押し返さないことが核心
👉 政治的含意
ケア倫理が新自由主義と衝突するポイント
「聞いたけどやらない」はケア未成立

③ Competence(能力をもつ)
Government → People
右辺の矢印
政策設計・実装・制度運用の技術的・組織的能力
善意だけでは足りない、という冷静な条件
👉 AI・制度設計の出番
行政の処理能力・スケーラビリティ
「ケアを実行できる政府か?」

④ Responsiveness(反応する)
People → Government
上辺の矢印
受け手である人々が「それは本当に助けになったか?」とフィードバックする
👉 ここが民主主義との接点
選挙・パブコメ・対話・熟議
ケアは「与えて終わり」ではない

では残りの2つはどこ?

⑤ Trust(信頼)
この循環全体が回り続ける条件
一度壊れると:
人々は話さなくなる
政府は聴かなくなる
👉 広聴が「一回きりのイベント」だと信頼は生まれない

⑥ Solidarity / Plurality(連帯・多元性)
この図が People / Government を単一主体として描いていること自体が実は危うい
実際には:
People = 多様で交差する集団
Government = 多層・多中心
👉 アーレント的に言えば plurality を前提にした care cycle が必要 → intersecting groups の間で回るケア

一言でまとめると
この図は 4-pack of care を制度化した循環モデル
6-pack of careで読むと:
Trust は「循環の持続条件」
Plurality は「この図を単純化しすぎないための注意書き」
そしてあなたがやっているブロードリスニングは、①をスケールさせ、④を構造化する技術 だと位置づけられる。
必要なら次に
「このモデルが全体主義とどう対立するか」
「AIを入れるとどこが壊れやすいか」
まで展開できます。


全体主義は「④Responsiveness」を消す。
Responsibility(②)
全体主義:国家が「すべてを引き受ける」と言う
→ だが誰のためかは問われない
Responsiveness(④) ← 決定的
全体主義:受け手の「これは助けにならない」という声をノイズとして排除
👉 結果「ケアしているつもりの暴力」が正当化される(=アーレント的全体主義)

AIを入れると、どこが壊れやすいか
②と④が壊れやすい。特に④が一番危険。
② Responsibility(責任の引き受け)
「AIがそう言った」「最適化の結果です」
責任の所在が溶ける
👉 ケア倫理的には 引き受け主体が不明になる=ケア失敗
④ Responsiveness(反応への応答)
AIは:「多数の声」「平均的満足度」「最適解」を返すのが得意
「それは私には合わない」「少数だが致命的」という異議を潰しやすい
👉フィードバックが“データ”に還元された瞬間、応答ではなくなる
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