> 鈴木 ...例えば『ラディカル・マーケット』の著者であるグレン・ワイルらが進めているRadicalxChangeのような取り組みには個人的に注目していますし、
> 彼やオードリー・タンが提唱している「Plurality」という概念は日本でも注目され始めていて、先日開催された「Plurality Tokyo」もすごい熱気に包まれていました。武邑さんはこうしたムーブメントについてどう思われますか?
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> 武邑 単なる多様性の時代は終わりつつありますね。多様性というとインクルージョンの話になりがちですが、ドイツなどを見ているともはや簡単には包摂できない差異をもった存在との共生を考える異質性の概念のほうが注目されています。明確な違いをもつ人間たちといかに関係を構築するのか。ドイツが移民をたくさん受け入れるのは、ある種、異質性への投資と言えるのかもしれません。
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> 鈴木 ドイツはかつて移民の人々にドイツ語教育を徹底し、インクルージョンを目指していましたよね。
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> 武邑 それだけでは無理だという結論に達したのだと思います。決して相容れない解決不可能な異質性と、いかにかかわっていくのか。だからこそ、コミュニティを維持するためのデザインやノウハウが重要になっていくんです。
> 鈴木 ...『なめらかな社会とその敵』が提示している「複雑な世界を複雑なまま生きることはいかに可能か」という問いにもつながっているように思いますし、言葉こそ違うものの、Pluralityが想定しているような世界に接続するところがあるかもしれません。










