信頼は不確実性の縮減メカニズム
ニクラス・ルーマンは、「信頼」を不確実性の縮減メカニズムとして理論化しました。ポイントを噛み砕くと次の通りです。
1) 信頼=複雑性を減らす社会的装置
社会は情報も選択肢も多すぎる。すべてを計算・確認して行動するのは不可能。
→ 信頼は、将来が不確実でも行為を可能にする“近道”。
信頼(Vertrauen):裏切られるリスクを知った上で引き受ける選択。
確信(confidence):裏切られる可能性を意識せず前提にすること。
例:知らない人に仕事を任せる=信頼/信号が赤で止まると皆が思っている=確信。
3) 信頼は合理性の代替ではない
信頼は「情報不足の穴埋め」ではなく、合理的計算では到達できない局面での合理的行為。
完全情報があれば信頼は不要、という発想を退けます。
4) 人格的信頼から制度的信頼へ
近代社会では、個人の
徳や
関係性よりも、
制度(法、契約、専門職、手続き)への信頼が中心になる。
→ 誰かを「信じる」より、制度が期待通り機能することを信じる。
5) 信頼は社会システムの作動条件
信頼がなければ相互行為が詰まり、経済・政治・法などの機能分化したシステムは回らない。
→ 信頼は道徳ではなく、社会が動くための前提条件。
もし関心があれば、
ハーバーマスの「相互理解」との対比
AIやアルゴリズムへの制度的信頼への応用
にもつなげて整理できます。