NISHIO Hirokazu[Translate]
理系文系知識知恵
2026-02-10
理系文系と分けるのも知識と知恵と分けるのもあんまりいい分割ではないなと思っている

とりあえず文脈をもう少し分厚くしてみると
理学博士の僕が技術経営の修士に入り直した時に最初に学んだのは科学哲学
僕はこの教育方針が正しかったと思っている
理系分野だと暗黙に一通りの「科学的な正しさ」を盲信しやすい
盲信しているせいでその「信仰」が具体的に何に立脚しているのか意識していない
ずっと理系にいると悪化しやすい
基本的には実験科学の正しさは繰り返される実験が同じ結果を返す自然の斉一性原理を仮定している
なので繰り返し実験できない一回性のできごとなどには何も言えない
科学者的には何も言えない状況では「判断しない」行動が正しい
経営者的には間違っている
判断を遅らせることでコストが増えることがある
チャンスを逃して逸失利益が発生することがある
判断しない態度が部下からの信頼を損ねる

なんで正しさの相対化のことを思い出したのか
ちょうど正統性のソースが複数あって、ある正統性に対して別の正統性が育って移り変わる世界観を描写してたからだな

2026-02-11
僕の解釈に近づけると上が抽象で下が具体の図に帰着しちゃうんだな
もっとリッチな図としては浮き草と樹木のたとえ
書物を読んで得た情報も自分の体験もまずは下にある
忘却や、抽象化や、似たものを見つけて共通の構造を見出すことによってそれに穴が開く
「穴が開く」というのはプログラミングでいうところの関数の引数と同じで「その穴に何を入れるか後から与えられる形」
具体的な経験や、書物に書いてある文章の丸覚えの状態では、それは変化することのできない0次元の点
変化可能なパラメータができることで1次元の線になる
ここでいうパラメータは、実数だと考えた方が「パラメータが増えると線になる」を物理的に理解しやすいが、実際は関数の引数として関数を与える高階関数のように単なる数値よりももっとリッチな概念が入る
抽象化は次元削減」との関係: N次元空間上の1点であるものが次元削減されてN-1次元空間に写像されるということは、写像によって潰れる1次元分の自由度が増えている

パラメータが増えるにつれて次元が上がっていき、応用範囲が広がる
ただし、パラメータが増えるにつれて「応用のために代入しないといけないパラメータ」が増える
ので応用しにくくなる?応用の難易度が上がる?
この「抽象概念に具体的パラメータを代入することで抽象概念を具体的問題に応用する」ということ自体に慣れが必要
「応用の難易度」の主たる決定要因は抽象概念を具体的に使うことに対する習熟度な気がするな
なので使い慣れている立場からは「バラメータが増えると使いにくくなる」という感覚に共感できない
使いにくい人と感じる人が多いんだろうと想像する
僕は応用範囲が広がった方が使いやすい


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